Posted by E-Commerce 業界担当アナリティカルリード 杓谷 匠, 広告ソリューションエンジニア 齊藤 光正, 広告ソリューションコンサルタント 藤田 稔

楽天株式会社はインターネット・ショッピングモール「楽天市場」の利便性向上のため、様々なデータを検証しながら AdWords キャンペーンの自動化に取り組んでいます。本事例では、AdWords API を活用したキーワード グルーピング システムの開発により、検索連動型広告のキャンペーン生成を自動化し、パフォーマンスを大きく向上させた取り組みをご紹介します。

モバイルの普及により、生活者は意図を持った瞬間(Micro-Moments)に、すぐ行動を起こすことが増えてきています、多様な検索語句を自動グルーピングすることで、それぞれの瞬間におけるユーザーの意図に寄り添った広告(メッセージ)を届けられるようになり、成果をあげた事例です。


導入の背景と戦略


モバイルが生活の中心に取り入れられていく中で、生活者は何かをしたい瞬間、何かを知りたい瞬間など、欲しい情報があったときに目の前にあるデバイスを手に取り、その場で行動を起こすようになってきています (Micro-Moments)。生活者が行動を起こす「その瞬間」に、生活者の意図に関連性の高い広告文を掲載することで、CTR(クリック率)を向上させ成果につなげることができます。

しかしながら、モバイルからの検索語句は多様化し増え続け、多彩な商品を取り扱う楽天市場の検索連動型広告のキーワード数は数百万に及ぶようになりました。その状況で、手作業により詳細かつ適切なグルーピングと広告設定をするのは難しく、例えば、「おもちゃ」という広告グループにはおもちゃを検索するために使われた様々なジャンルのキーワード(「アニメ名」や「キャラクター名」「商品名」など)が全部一緒に入れられていました。

そのため、アニメに興味を持ち「アニメ名」を検索したユーザーに対して「おもちゃ」に関連した広告が配信されるなど、検索語句から読み取れるユーザーの意図と広告の関連性に課題がありました。

そこで楽天市場は 2015 年夏から約半年かけて、AdWords API を活用したキーワード グルーピング システムを開発しキャンペーンとつなげ、検索語句のグルーピングから広告グループの生成、キーワード追加の自動化を実現しました(仕組みは図 1 参照)。


(図 1 )楽天市場 キーワード グルーピング システム概念図

 

自動化の成果


キーワード グルーピングを自動化することで、限られたリソースの中で、関連性の精度を上げると同時により細かい単位で検索語句をグルーピングすることができるようになり、ユーザーの検索意図と関連性が高い広告を生成することができるようになりました。その結果、自動化後の CTR は大きく改善し(図 2 参照)、CTR が改善することで品質スコアが高まり、CPC(クリック単価) も低下しました(図 3 参照)。クリック数をキープしながら、予算のさらなる効率的利用が可能になっています。

Micro-Moments で汲み取った生活者の「意図」に寄り添うメッセージを届けたことで、パフォーマンスを大きく改善できた事例といえます。

(図 2)自動化前後の CTR 改善率                      (図 3)自動化前後の CPC 改善率



今後の展望


「楽天市場でのモバイル検索数は増加しており、膨大なキーワードを細かな広告グループに整理し、生活者のニーズに応える広告を配信することは課題となっていました。逆を言えば、この増加する Micro-Moments は顧客との接点を増やすだけでなく、求める広告を配信することで顧客とのつながりを深められる、ビジネスチャンスと言えます。そこで今年夏から数か月かけてのキーワード グルーピング自動化に踏み切りました。自動化の導入は、期待以上の高いパフォーマンスにつながっただけでなく、運用時間の短縮にもつながりました。

今後、さらなる効率化も計画しており、自動入札機能のテストを行ったり、コンバージョンオプティマザーの導入も検討しています。

顧客にどれだけ寄り添う広告ができるか、さまざまな自動化ツールやデータを活用しながら突き詰めていきたいと思います。」(楽天市場事業 マーケティング部 SEM グループ 坪井 佳子氏)


*AdWords API の活用に関する詳細はこちら
*PDF 版の事例はこちらからダウンロードできます。
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楽天株式会社
http://www.rakuten.co.jp/
• インターネット・ショッピングモール「楽天市場」を中核に、電子書籍、トラベル、銀行、証券、クレジットカード、電子マネー、ポータル&メディア、オンライン マーケティング、プロスポーツなどのサービスをネット上からワンストップで提供

Posted by 第一広告営業本部 ビューティー&ヘルスケア業界担当チーム一同

ウェブ通販事業を行う皆様におかれましては、通販におけるスマートフォン活用は関心の高い領域なのではないかと考えております。

今回は健康食品通販事業における、スマートフォンを活用したコンバージョン最大化の事例をご紹介致します。


【1.背景】 健康食品業界のビジネス拡大におけるスマートフォンの重要性


スマートフォン活用の実例ご紹介の前に、まずは健康食品業界におけるスマートフォンの現状を確認してみましょう。

以下、表 ① は健康食品業界におけるスマートフォンの検索量推移です。

※表 ① 健康食品業界におけるスマートフォンの検索量推移(2012 年 1 月から 2015 年 9 月)
※Source : Google Internal Tool  / 健康食品通販業界の複数ワードから作成

こちらは、2012 年 1 月から 2015 年 9 月までの間に健康食品関連の検索語句をスマートフォンから顧客が検索した量の推移です。2012 年 1 月を 1 とした場合、2015 年 1 月時点では約 5 倍に、また月最新の 2015 年 9 月では約 7 倍程度まで増加が伺えます。

この急成長から健康食品業界においてスマートフォンの重要性が非常に高いことがご理解頂けることと存じます。

では、このスマートフォンの検索量増加が健康食品通販ビジネスにどのような好影響をもたらすでしょうか。

考えられるのはサイト流入数の増加からのコンバージョン数増加です。
表 ② は一般的な健康食品サイトにおけるオンライン顧客の購買遷移です。

※表 ②  一般的な健康食品サイトのオンライン顧客購買遷移(カスタマージャーニー)
※Source : 筆者作成

オンラインにおいて顧客は流入からサイトへの滞在を経由し、初回購入、サンプル請求などコンバージョンに至ります。健康食品業界自体の検索量がスマートフォンにより増加することは、流入数の絶対増、ひいては購入やサンプル請求などコンバージョン数増加につながると考えられます。

このようにスマートフォンの検索量増加は健康食品通販ビジネスにおけるコンバージョン数増加において追い風であり、非常に好ましい状況であることが考えられます。


【2. 課題】 スマートフォンコンバージョンにおける課題


スマートフォンの影響力の高まり、また、コンバージョンへの有用性は以上のように確認できましたが、課題も存在します。

以下表 ③ は表 ② のカスタマージャーニーをより詳細にしたものです。

※表 ③  一般的な健康食品サイトのオンライン顧客購買遷移(カスタマージャーニー)詳細
※Source : 筆者作成

実際のところサイトに滞在した顧客は各遷移において一定数離脱しますが、特にカートでの離脱はコンバージョン直前の離脱ですので機会損失の影響が高くなります。

ではスマートフォンにおけるカートでの離脱を防ぐにはどうすればよいのでしょうか。

Google ではスマートフォンでのカートにおける購入フォーム入力における課題に注目しました。

表 ④ をご覧ください。Google の Our Mobile Planet によるこちらの調査では、健康食品のメインターゲット層である 35 歳以上の消費者の約 20% が、スマートフォン上での商品購買時におけるフォーム入力を障害に感じているという結果が出ました。

※表 ④  スマートフォン上での商品購入において「入力するのが難しい」と回答したユーザーの割合 (2013 年日本での調査)
※Source : Google によるモバイル調査「Our Mobile Planet」より作成

この調査結果から、スマートフォンにおいては、カートでの従来的なフォーム入力手続きが購入のハードルを上げ、カートでの離脱を招いていると予想されます。

カートまで来訪している顧客は購買意向が高いと想定されるため、離脱による機会損失のインパクトが高いことが考えられます。

急増するスマートフォンからのトラフィックを効率よくコンバージョンにつなげるためには、この課題を解決することが必要です。


【3. 課題解決のための施策】 通話による購買遷移の設置と Google によるコンバージョン トラッキング


スマートフォン上の購買遷移において、フォーム入力時のカート離脱を防ぎ、コンバージョンを促進するために、Google では通話による購入遷移設置に注目しました。

具体的な施策として、スマートフォンカートやランディングページの分かりやすい場所に「通話購入ボタン」を設置しました。そしてそのボタンのクリック数を把握できるコンバージョン トラッキング タグを設置し(設定方法はこちら)、コンバージョンへの貢献を計測しました。

通話購入はスマートフォン上での入力という手間を省くうえ、お客様との会話を通じ、関係強化も期待できます。

以下(※表 ⑤)は、株式会社健康家族様によるランディングページへの通話ボタン設置の例です。


※表 ⑤  株式会社健康家族様の「にんにく卵黄」と「仙寿の水」のランディングページにおける実際の通話購入遷移


【4. 配信結果】通話による購入遷移の設置による影響


4-1 :  コンバージョン数増加に関する影響


株式会社健康家族が通話購入のボタンをランディングページに設置する前合計 2 ヶ月と、後合計 2 ヶ月のコンバージョン数(※注 1)を確認したところ、以下(表 ⑥)の通りコンバージョン数が 30% 増加しました。
※注 1:スマートフォン流入からのコンバージョン数。またコンバージョン数は「入力フォームからの購入完了数」と「通話ボタンクリック数」の合算。

※表 ⑥  通話購入ボタン設置前後比較
※Source : AdWords によるコンバージョントラッキングより作成

4-2 :  コンバージョン率への影響

また、コンバージョン率(CVR)への影響を測るために、通話ボタンがないランディングページと設置されたランディングページで前後比較(前後 6 日間での比較)したところ、通話購入のボタンがある期間の CVR が約 35% 増加していました。

通話購入遷移のボタンを設置することでコンバージョン数と CVR 両方へのポジティブな結果が出ています。


【5. おわりに】 通話購入遷移を設けコンバージョン数を増加させる


表 ① のデバイス別検索量推移を見る限り、スマートフォンの影響は非常に高まっており、今後もさらに検索が増加することが考えられます。

健康食品通販だけでなく、広く通販業界でもスマートフォンの重要性が増し、その活用がビジネスの拡大のために必須になることが予測されますので、Google のスマートフォン向け広告に更に注力するなど、ぜひ早めにコンバージョンを増加させるための施策をお考えになってはいかがでしょうか。

Posted by エンターテイメント業界担当アカウントマネージャー石井 一樹、パフォーマンスソリューション エキスパート 緑川 徹生


ユニゾンリーグ_ロゴ.png

スマートフォン向けのゲームアプリを多く開発する株式会社エイチームは、新作ゲームアプリである「ユニゾンリーグ」をリリースし、より効率的な新規ユーザー獲得のために、本アプリの需要喚起とゲームそのものへのエンゲージメントを深めるという 2 つを目的とした広告展開を行いました。

今回、テレビ CM の展開に合わせて YouTube のモバイルアプリ プロモーション用 TrueView 動画広告を活用し、成功を収めましたので、ご紹介いたします。


導入の背景と戦略


スマートフォンのゲームアプリ市場は競争が激しく、多くのゲームが日々リリースされています。その中で、多くのユーザーにゲームの存在を印象付け実際に遊んでもらうということは、より困難になってきています。

実際にユーザーがゲームをダウンロードする際は、既に人気が高いゲームアプリを Google Play などのアプリマーケット上で目にしてダウンロードをするケースが多くなっています。新しいゲームがその中でユーザーの興味・関心を勝ち得て継続的にプレイされるためには、幅広く需要を喚起するとともに、実際にアプリのダウンロードへと繋がっていくようにモバイル端末上で広告を展開する必要があります。

エイチーム様は、「ユニゾンリーグ」という新作のゲームアプリを広告するにあたって、これらの課題に取り組むために、テレビ CM の出稿と連動する形で YouTube のモバイルアプリ プロモーション用 TrueView 動画広告を展開しました。


施策における工夫とポイント


今回のマーケティング施策においては、以下の 2 つの目的を重視しました。
  1. ゲームタイトル・コンセプトの需要喚起
  2. より強いユーザー エンゲージメントの達成

1 については、Google 検索および Google Play ストア内の検索に繋げていくために想起されやすいキーワードを考案し、それが強く印象づけられるように動画クリエイティブを作成しました。具体的には、仲間を作りながら遊んでいくという要素が本ゲームの醍醐味であるため、ユニゾンリーグ上の仲間(フレンド)を意味する「ユニフレ」という造語を作成。そして検索時にそのキーワードを想起してもらえるよう、「ユニフレ」を軸とした動画を男性向け、女性向けの 2 パターン用意しました。

2 については、上記に加えて、ゲームのプレイ画面を中心とした訴求の動画も作成することでエンゲージメントが高まり、継続率や課金率が高くなることを狙いました。

具体的には、2 つの目的に合わせて、以下のように合計 3 種類の異なる動画を用意し、YouTube の属性ターゲティングを活用しながら、TrueView 広告の配信を行いました。


目的施策内容 ターゲット層別の動画クリエイティブ
ゲームタイトル・
コンセプトの需要喚起
キーワード
(「ユニフレ」)の訴求
男性向け
女性向け
エンゲージメントの創出 ゲーム画面を中心とした
訴求
全ユーザー向け


施策後の成果


今回のプロモーション施策によって、「ユニゾンリーグ」は前述の 2 つのマーケティング目的に対して大きな成果を上げることができました。

まず、1 のゲーム タイトルおよびコンセプトの需要喚起*について、Google の提供する「ブランド効果測定」の一つであるサーチリフト測定を行った結果、ブランド名、商品名、クリエイティブ メッセージ共に、TrueView 広告に接触したユーザーによる検索行動が活性化したことがわかりました。具体的な成果として、広告で訴求した造語のキーワード検索ボリュームは +253%、アプリ名のキーワード検索ボリュームは +79% の増加を確認しています。(サーチリフト測定より)

カテゴリ検索語句オーガニック検索の伸び
ゲームタイトル
(ブランド関連検索)
ユニゾンリーグ、ユニゾン、Unison League、Unison+ 79%
広告クリエイティブ
関連検索
ユニフレ、ユニゾンアタック、ユニフレになりませんか+ 253%

(図 1) エイチーム「ブランド効果測定」の結果
ソース: ブランド効果測定
期間: 2015 年 4 月 21 日~2015 年 5 月 31 日
有意差検定(片側検定 有意水準 10%)の結果、有意差が認められた
*ご利用については担当営業までお問い合わせ下さい。


また 2 については、TrueView 広告経由の新規インストールユーザーの継続率は、同時期に配信されたディスプレイバナー広告経由の獲得ユーザーと比較して約 +70%(一定期間以上アプリを利用したユーザー間の比較)、ROAS(Return on Advertising Spending、広告費用対効果=アプリ内課金売上/広告コスト)で約 +150% と、インストール後のアクティブ率が高いことがわかりました。これは、動画広告視聴によってゲームに対するエンゲージメントが大きく高まったことを裏付けています。

(図 2)「ユニゾンリーグ」継続率、ROAS
ソース: エイチーム


今後の展望


「今回の施策では、ユーザー獲得において量と質の両方に対してのチャレンジを行ないました。

動画やメッセージの内容、配信方法を工夫することで検索行動が大きく活性化し、多くのユーザーのダウンロードに繋がったと感じています。

また、獲得後のユーザーのアクティブ率にも大きな違いが生まれることは、改めて発見となりました。実際にインストール(獲得)の量という部分においても、YouTube 上に表示したインストール促進用のバナーは重要な受け皿となってくれました。獲得ボリュームやユーザーの質という点で今の時代に合った設計のプロダクトだと感じています。また企画を練りながらチャレンジしていきたいと考えております。」エンターテインメント事業本部 マーケティンググループ プロモーションチーム 和田 隆照 氏


*PDF 版の事例はこちらからダウンロードできます。

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株式会社エイチーム
  • http://www.a-tm.co.jp/
  • インターネット モバイル端末をベースとしたコンシューマー向けサービスを主軸に、ゲーム デジタル コンテンツの企画・開発・運営などを行う「エンターテインメント事業」と、 日常生活に密着した比較サイトや情報サイトの企画・開発・運営などを行う「ライフスタイル サポート事業」を展開

Posted by 緑川 徹生 - パフォーマンス ソリューション エキスパート、八十原 光良 - インダストリーマネージャー



ブライダル情報サービス「ゼクシィ」、自動車関連情報サービス「カーセンサー」、高校生の進学情報サービス「リクナビ進学」などを展開するリクルートマーケティングパートナーズ。同社では購入頻度の多くない中古車においても、情報源としてスマートフォン、モバイルアプリの利用意向が高まることを予測し、先行してモバイルアプリを開発、モバイルアプリからのコンバージョン増加、ロイヤルユーザーの醸成に成功しています。今回は Google の考える Micro-Moments の考え方と合わせて同社の取り組みをご紹介します。


Micro-Moments について


日本人の 50% 以上がスマートフォンを手にするようになった現在、生活者の生活環境が大きく変わってきています。こうしたテクノロジーの進化によって、何かをしたいと思った生活者は、すぐに目の前にあるデバイスを使って調べる・買うなどといった行動を起こすようになりました。そうした瞬間のことを、Google では Micro-Moments と呼んでいます。これらの瞬間は、生活者が何かを決断したり、またはブランドに対する好みを形成する、マーケターにとって大切な瞬間です。

また、こうした Micro-Moments は多くがモバイルから生まれています。Google の調査によると、日本では生活者の 49%* が購買判断に検索結果を考慮しているといいます。そして、「何かを知りたい」と感じた生活者が、現在一番検索を行うデバイスはモバイル**です。また、「何かを買いたい」という時について、生活者の 40%* がモバイルで商品を比較したことがあると回答をしています。

Google では、こうした Micro-Moments を活かしたマーケティングを行うには、
1) Micro-Moments を正しく見極めること、
2) Micro-Moments における生活者の「意図」を汲んだうえで、「最適な情報」を「最適なタイミング」で届けること、
3) 1), 2)ができたかの効果測定をすること
が重要だと考えています。詳細についてはこちらもご参照ください。

*Google コンシューマーバロメーター、**Google 社内データ


導入の背景と戦略


リクルートマーケティングパートナーズが自動車関連情報サービス「カーセンサー」を運営している中古車業界でもこの「何かを知りたい」、「何かを買いたい」という Micro-Moments がモバイルから多く生まれています。生活者は、気になる自動車について「知りたい」、「買いたい」と思った瞬間に目の前にあるモバイルで調べており、その結果として主要人気車種名ワードの検索はスマートフォンからの検索が全体の 70%** を占めています(下図 1 参照)。

また、同社が独自に行ったリサーチでは、購入頻度の多くない中古車購入においても、情報源としてスマホ、及びモバイルアプリの利用意向が高まることが予測できました。そのため、コンバージョン数の拡大、モバイルアプリの特性を活かしたロイヤル ユーザーの醸成を目的として、アプリ時代の到来に先駆けてモバイルアプリへの投資の意思決定を行いました。

**Google 社内データ

(図 1 )主要車種名の検索トレンド



施策における工夫とポイント


1), 2) Micro-Moments を見極め、「最適な情報」を「最適なタイミング」で届けること


リクルートマーケティングパートナーズがモバイルアプリを開発する上で工夫した主な点は①ディープリンクの実装と、②モバイルアプリ内行動ログを活用したユーザー毎の志向性にあった広告クリエイティブ表示です。

①ディープリンクの実装により、モバイルアプリユーザーが興味のある中古車について「知りたい」、「買いたい」、と思ってスマホを手にとった時、すなわち Micro-Moments でスムーズにモバイルアプリを活用して貰うための仕組みを実現しました。具体的には既にアプリをインストールしたユーザーの Google 検索結果画面にモバイルアプリ ページのリンクを表示することで、1 クリックでモバイルアプリの該当車種画面にユーザーを誘導することが可能になりました。

また、②については、モバイルアプリ内に蓄積したユーザーの行動ログを活用することにより、ブランドや価格など、ユーザー毎に最も関連性の高いクリエイティブを広告として表示できる仕組みを実装しました。

3)効果測定


モバイルアプリではインストールから数か月間後であってもアプリ内の検索行動やコンバージョンが発生することから、同社ではアプリの CPI(Cost Per Install、インストール単価)だけでなく、インストール後 6 か月の計測期間を考慮した LTVCPA(Life Time Value CPA、生涯獲得単価)で ROI を判断しています。


施策後の成果


①の施策


コンバージョン数について、モバイルアプリからのコンバージョンが順調に増え、現在では全体の 約 15% まで増加させることに成功しました(2015 年 3 月時点、下図 2 参照)。


(図 2 )カーセンサーにおけるデバイス別コンバージョン(中古車下見)割合


また、ロイヤル ユーザーの醸成についても、モバイルアプリ ユーザーは長期に亘ってコンバージョンを生み出しており、初回来訪の 31 週後には 1 週目と比較し 4 倍以上のコンバージョンをしています。セッション数、PV 数についても、モバイルアプリ ユーザーは PC(ウェブ)と比較し、1 ユニークユーザー当たりセッション数 +526%(※5.26 倍)、PV 数 +1,573%(15.73 倍)とロイヤル ユーザーであることがわかります(下図 3 参照)。


(図 3 )ユニークユーザー当たりのセッション数、ページビュー数



②の施策


関連性の高い広告クリエイティブを配信し既存ユーザーに向けたディスプレイ広告のリマーケティングを行った結果、顕著な効果増が確認されました。具体的にリマーケティング配信の CPA について、PC のキャンペーンを基準とした場合、モバイルウェブで -2%、モバイルアプリでは -24% も改善されました。(下図 4 参照)


(図 4 )リマーケティング配信の CPA


アプリにおいては、ディープリンクを活用することで、アクティブなユーザーに対してよりよいユーザービリティを提供することが可能となり、大きな成果を収めています。


今後の展望


「当社ではモバイルアプリを戦略上重要視しています。利便性の高いユーザー エクスペリエンスを提供できる、アプリの利用によるカスタマー満足度の向上、ノーティフィケーション機能などでカスタマーの再来訪を促進し LTV 成果を向上させるなど、アプリ特有の価値と可能性があると思います。

施策に関しては「やってみないとわからない」という思想の基、積極的に新規施策に挑戦していくことで競合劣位になりにくい状況をつくっています。マーケットの新しい常識になるような施策は結果の予測が難しいため、施策の確度を見極めるプロセスは毎回行いながらも、積極的にチャレンジしたいと考えています。

今後より注目したいのは、Google が提唱する Micro-Moments という考え方です。当社が他媒体でエスノグラフィ調査を行い多数の生活者行動を細かく分析したところ、エレベータの待ち時間等、隙間時間のモバイル利用が一定量ありました。生活者の細かい行動をとらえ対応していくことが、今後より重要になってくると思います。」


執行役員 ネットビジネス本部
プロダクトマーケティング部 部長 櫻井 康平氏


同 コミュニケーションデザインG 平野 裕樹氏


*PDF 版の事例はこちらからダウンロードできます。
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株式会社リクルートマーケティングパートナーズ
  • http://www.recruit-mp.co.jp/
  • カスタマーとクライアントの出会いを創出することで、"しあわせの総量"が増えている世界を目指し、ブライダル情報サービス「ゼクシィ」、自動車関連情報サービス「カーセンサー」、高校生の進学情報サービス「リクナビ進学」などを展開

Posted by E-Commerce 業界担当 インダストリーマネージャー 本橋徹 / オーディエンス ソリューション本部 統括部長 須田尚宏


インターネット・ショッピングモール「楽天市場」は世界的にもユニークな B2B2C 型のマーケットプレイスです。楽天市場の運営においては、常に売り手と買い手の利便性を追求し、膨大なデータを分析しながら科学的アプローチに取り組んでいます。

この事例では、自動入札 vs 手動入札 A/B テストを経て、キャンペーンを完全自動化することで大きな売上向上を達成した、楽天市場の取り組みをご紹介します。デバイスの多様化により増えたユーザー接点(Micro-Moments)を自動化によって効率良く捉えた例です。


導入の背景と戦略


楽天市場では、動的リマーケティングを利用することで「ターゲティング」と「クリエイティブ」は既に自動化していましたが、「入札」はこれまでの知見を活かし手動で商品カテゴリ、リーセンシー、広告サイズで広告グループを分けて運用していました。そこで、さらなる効果アップの可能性の 1 つとして、広告グループを統合し、自動入札を検証することになりました。

2014 年 9 月に、入札戦略ツールの 1 つ、目標広告費用対効果(広告費用対効果:ROAS の目標値を設定し、最適化に向け自動で入札単価を調整する機能)を使って自動入札 vs 手動入札 A/B テストを行い、結果をもって入札自動化を検討するという計画がスタートしました。


自動入札(目標広告費用対効果:ROAS 機能)の仕組みと効果


自動入札(目標広告費用対効果:ROAS 機能、詳細リンク先説明もご参照ください)を適切に活用すれば、手動で入札単価を設定するよりもコンバージョン数(販売数)や売上を伸ばせるほか、キャンペーン管理の時間を大幅に減らすことができます。

その仕組みを簡単にご説明します。自動入札は、AdWords の自動入札アルゴリズムが各広告オークションの状況に関するシグナルを分析し、広告クリックがコンバージョン(販売)につながる確率に応じて入札単価を毎回自動で設定しています。また、個々のシグナルだけでなく、シグナルの相関性も考慮して入札単価を算出します。

下記は分析されるシグナルの一例です。自動入札は、手動での入札では一度に加味しきれない量のシグナルを多角的かつリアルタイムに分析し、入札することで、手動に勝る最適化を実現するのです。



施策後の成果


2014 年 9 月、リマーケティング リスト内のユーザーを均等なグループに分け、同予算でキャンペーンを展開し、自動入札 vs 手動入札 A/B テストを実施しました。結果、手動入札キャンペーンと比べて、キャンペーン費用は -12%と抑えながら、自動入札キャンペーンではコンバージョン数(販売数) +12%、売上 +14% という成果をあげました(図 1 参照)。

この結果を受け、楽天市場は入札の自動化を導入しキャンペーン(ターゲティング、広告、入札)をすべて自動化しました。その後、投資を拡大し 2015 年 4 月には、コンバージョン数(販売数)は 2.6 倍、売上は 2.9 倍にまで拡大しました(図 2 参照)。現在では、入札調整含むこれまで手動で行っていた実行フェーズに関する業務はほぼ自動化が完了し、その分の時間は今後のユーザー戦略に関するディスカッションや新施策のチャレンジなどに一層割かれています。

(図 1)手動入札 vs 自動入札テスト結果
(図 2)自動入札導入後の推移



今後の展望


「昨年 9 月の導入より、継続的に高いパフォーマンスで運用を行うことができております。導入当初は、ターゲットとした ROAS 値よりも高い成果が出てしまう、ROAS 値変更時にパフォーマンスが安定しないなど、いくつか問題点がありましたが、度重なる Google 側のチューニングにより現在は解消されており、順調に運用をしております。 また今後は、検索広告についてもテスト運用を進め、導入していきたいと検討しております。」
(楽天市場事業マーケティング部アフィリエイト・マーチャンダイザーグループ ディスプレイチーム 門田 志穂氏)



*PDF 版の事例はこちらからダウンロードできます。

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楽天株式会社
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Posted by 緑川 徹生 - パフォーマンスソリューション エキスパート


これまで、認知・検討・コンバージョンという流れで、購買ファネルに沿って Micro-Moments の活用方法を解説してきましたが、最終回の今回は 4 つ目にあたる「リレーションシップ」がテーマになります。そして、モバイル マーケティングにおける「リレーションシップ」の強化について考える上で、今回はモバイルアプリに重点を置いて、Micro-Moments を捉え・活用する方法について解説します。

モバイルアプリの重要性は、従来エンターテイメント系サービス(特にゲーム)や新規事業をアプリベースで開発する場合などに語られることが多かったのですが、既存の事業における顧客との「リレーションシップ」強化という観点で考えると、より多くの企業様がアプリ作成に本格的に取り組むべき理由が見えてきます。


1. 生活者の Micro-moments を捉える上でのアプリの重要性


まず、生活者の Micro-Moments を捉える上で、アプリは欠かすことができない領域です。データで見てみると、1 人のユーザーは 1 週間に 1,500 回なんらかの操作をスマートフォン上で行っているのですが*1、時間消費の内訳を見ると、そのうち 86% の時間はアプリ上で使われています*2。これは、モバイル端末で発生する Micro-Moments について考える際に、ユーザーにとって便利なアプリ サービスを提供できていない場合、大きな機会損失を生んでいることを意味します。

ただし、ウェブサイトをすでにお持ちの企業様の場合、アプリをさらに開発するメリットを理解しないと、着手が難しいかもしれません。そんなときは、以下 4 つのアプリの強み・メリットについて考えてみてください。

  1. より豊かな UI/UX: アプリでは、ウェブと比べて豊かな表現やインターフェイスを実現できます。このため、一般的にアプリユーザーは、ウェブ上よりも高いアクティブ率(ネットサービスを活発に、あるいは日常的に利用している人の割合)を見せ、購買展開率(サービスにおけるコンバージョンの起こりやすさ)などもより高くなります。
  2. 素早いサービスの立ち上げ: スマートフォンのホーム画面にアプリのアイコンが常駐していますので、ユーザーの Mirco-Moments が生まれた直後に立ち上げてもらうことが可能です。
  3. オフライン情報の活用: 重いデータなどを都度ダウンロードする必要がありません。また、ユーザーの過去の入力情報を保存し、次回の立ち上げ時にそのまま継続的に利用することが可能です。
  4. アプリユーザーによるより高いサービス利用意向: アプリのインストールは、実は非常に強い意図を持っているユーザーによる行動です。多くのアプリユーザーは、わざわざそのサービスのブランド名やサービスに関するキーワードを検索したりして、ストアのアプリのページにたどり着き、そのサービスを利用するつもりでインストールを行うのです。

実際に、アメリカでの調査で、アプリを持っているユーザーの活発な購買活動が報告されています。

各業種のアプリ ユーザーに聞き取りしたところ、過去 30 日間でこんなにも多くの割合のユーザーが何らかの購買活動・加入契約を行っています。これはアプリが Micro-Moments を捉えていることの証左です。*3



このようにアプリは大きな可能性を秘めていますが、取り組むべきテーマが大きく 2 つあります。LTV(Life Time Value、顧客生涯価値)とインストールです。

アプリにおける LTV は、アプリユーザーが、1) どのくらいの頻度で、2) どのくらいの期間アプリを使い続け、3) またそのうちどのくらいのユーザーが実際に購買活動を行い、4) どのくらいの金額を消費するのか、という 4 つの指標で計測されます。ここでは、そのアプリがユーザーの Micro-Moments に応え続け、満足させているか、が鍵になります。

また、インストールについては、プロモーションなどによってユーザーボリュームを確保する必要があります。これも、ユーザーが「アプリが欲しい」と思う Micro-Moments をマーケティング施策によって捉えることが重要です。


2. Micro-Moments を捉えて LTV を向上させる


まずアプリを作ったことによるビジネス上の付加価値がはっきりしないと、プロモーションへの投資も難しくなってしまいます。

アプリが高い LTV を発揮するためには、「使われる質の高いアプリ」を作り、しっかりとユーザーに使い続けてもらうための「仕組みづくり」が必要です。実際に、1 ヶ月間でアプリがアンインストールされてしまう割合は 95%であり*4、20% のアプリは 1 回しか使われずに終わってしまいます*5。ユーザーの Micro-Moments に応えることができないアプリは、まず使い続けてもらうことすら難しいのです。

アプリの成功企業は、以下の 4 つのポイントを特に押さえています。

  • わかりやすさ・アプリの品質を重視: シンプルでわかりやすいアプリ、そしてユーザーのニーズにしっかりと応えているアプリ。
  • 簡潔な登録・購買フローの実現: これは例えば、実際に何かアプリで何かを購入しようとしているユーザーに煩雑なフォームの入力を強いることは避けるべき、ということです。
  • ユーザー分析に基づくアプリ改善: ユーザー層分析を行い、Micro-Moments の発生の瞬間、アプリに期待されること、ニーズの高いユーザーグループを把握します。
  • ディープリンクを活用したリテンション施策: ユーザーの Micro-Moments 発生時にアプリで即時対応することで、ユーザーを引きつけて定着させます。


a 質の高いアプリを作る


まず、ユーザーに長く使い続けてもらえるアプリを作ることが、何にもおいて大事です。

リクルートマーケティングパートナーズは、中古車カーセンサーの事業においてアプリにいち早く取り組まれました。現在、アプリのユーザーのアクティビティはモバイルウェブにおけるそれよりも遥かに高くなっており、1 週間後の継続利用率を比較しても 5 倍、1 ユーザーあたりのセッション数は 3.5 倍にもなっています。ユーザーにアプリを利用してもらうことの付加価値は明らかです。*6

注目すべきアプリの機能としては、ユーザーの閲覧履歴や検索条件をアプリ上で記憶し、購入検討をいつでもすぐに再開できる機能や、登録した車の新着在庫のお知らせを受け取ることができるプッシュ通知があります。中古車購入を検討しているユーザーの Micro-Moments に応えようとしています。




Online to Store(O2S)では、Walmart の Saving Catcher という機能が目を引きます。これは、ユーザーが Walmart で買物を行った際に、レシートをアプリのカメラ機能で撮影すると、近隣の他の店舗のチラシの情報と比較して、最低価格との差分を次回来店時のクーポンにするというものです。

また、店舗内の在庫情報との連動や、広い店内での陳列位置の表示など、買物に役立つ機能が充実しています。Walmart のこのアプリを持っているユーザーは、持っていないユーザーに比べて来店率が 2 倍に向上し、平均購入金額が 40% も高くなっているということです。*7



このように、すでにウェブや店舗などでの成功があり、さらにユーザーとのリレーションシップを強めるためにアプリを作る場合、ユーザーの Micro-Moments を捉えてより高い LTV を生み出すことが可能です。

Google では、Android プラットフォームを提供していることから、アプリデベロッパー様にモバイルアプリのビジネス成功のためのより詳細な Tips もご用意していますので、ご覧ください。


b より使ってもらうための仕組みを作る


アプリ内の特定のページに対して直接リンクを行うディープリンクは、今後アプリでのサービス提供を考える上で必須のテクノロジーになります。このディープリンクは、実は先ほどご紹介したカーセンサー、Amazon、Walmart のアプリでも活用されています。オーソドックスな活用方法としては、直接、アプリ内の個別のキャンペーンや商品情報などにリンクを貼るというものです。

現在、ディープリンクを活用するための Google のソリューションとして、以下 3 つをご用意しています。

  • App Indexing: 自然検索結果において、アプリをすでに持っているユーザーに対しては関連するページのディープリンクを表示するというものです。
  • Voice Actions API: Google の Voice Actions から特定のアプリの特定のアクションを呼び出します。音楽を聴いたり、商品を指定して購入するなどのアクションを声で呼び出します。
  • Now API: Google Now カードからもディープリンクを呼び出すことができます。

2015 年 9 月現在、Voice Actions API および Now API はベータプロダクトであり、すべてのお客様にご実装いただけるものではありませんので、ご了承ください。



例えば食べログでは、App Indexing の導入から 5 週間後、アプリのお店ページの PV が 9.6% 増加したとのことです。*8 今後アプリを持っているユーザーに対しては、より高いアクティビティが期待される場合、ウェブではなくアプリ内の特定のページに優先的にリンクを飛ばすことが一般的な手法になってくると考えられます。

また、ディープリンクの技術は広告にも活用が可能です。現在、検索結果連動型広告において飛び先をディープリンクに指定することや、ディスプレイの再エンゲージメント広告のリンク先をディープリンクとすることなどが可能となっています。

広告においても、既存ユーザーに広告を表示する際に、ウェブサイトにリンクするかアプリのディープリンクを開くか、という選択を行う機会が今後増えてくると考えられます。


3. Micro-Moments を活用してインストールを促進する


実はアプリを多くのユーザーに見つけてもらい、インストールをしてもらうのも簡単なことではありません。アメリカでの調査によると、スマートフォン ユーザーの 2/3 は過去 1 ヶ月間アプリをダウンロードしていないそうです。*9 また、世の中には膨大なアプリがありまして、今この瞬間もアプリマーケット上に 100 万以上のアプリが存在します。

インストール ボリュームを獲得するためにも、Micro-Moments について考えることが大変重要です。そのアプリのサービスをユーザーが必要として、スマートフォンにおいて検索や調査のアクションを取る瞬間に、ふさわしいアプリの紹介を行うことができることが望ましいです。実際 75% のユーザーが、アプリをダウンロードする前に何らかの検索や比較を行うそうです。*10

Google がもっているアプリ プロモーションに利用可能な掲載面は、これらをカバーすることができます。よく使われる検索画面、それに Google Play 上の検索はユーザーの能動的な Micro-Moments を掴む大事な場所です。また関連性の高いコンテンツを見ている瞬間も、プロモーションのための重要な機会です。ユーザーのアプリに対するニーズが高まる Micro-Moments を想定しながら、プロモーションに取り組んでください。



4. Micro-Moments を活かせたか効果を測定する


では、これらの効果の計測はどのように行われるのでしょうか。

1 つが LTV に関連して、アプリそのもののパフォーマンスを計測することが重要です。
  • アプリ内分析: どのような生活者がどのようなアプリの使い方をしているのかを分析します。その分析を基にリマーケティングのリストを作ることもできます。また、例えば 30 代の女性が好むものを特定し、お勧めとして表示することで、購買にいたる可能性を上げることもできます。
  • 収益性分析: ユーザーが実際に購買にいたるまでのボトルネックを発見し、アプリの改善を行うことができます。離脱率が高いポイントはどこでしょう?また、いち早い不具合の発見にも役立ちます。
  • アトリビューション: 例えば複数のチャンネルをまたぐコンバージョンを追うことができます。皆さまのユーザーは、御社ウェブサイトも訪れて、その後にアプリでコンバージョンしているかもしれません。

もう 1 つの観点として、アプリのインストールの効率化のための計測があります。
  • 経路分析: どのキャンペーン、ネットワークのインストール効率が高かったかを判断するものです。これによって、広告配信を最適化できます。
  • インストール後アクション: インストール ボリュームばかり追うことは得策ではありません。質の高いユーザーがどの経路から獲得できているかの分析も重要になります。

最後に、実際に普段の KPI として見るべき指標を確認しましょう。

まず、インストール数はプロモーションのためにしっかりと計測しましょう。問題は、その後です。まず、リテンション(どのくらいの割合でユーザーが残ってくれるのか)、顧客単価(どれくらいお金を使ってくれるのか)、継続期間(どのくらい長くサービスにとどまってくれるのか)を計測します。これらのことが分かって初めて、LTV が算出可能になります。

この LTV の本当の価値を知らなくては、実際にどの程度インストールにコストをかけられるかの判断はできません。



5. Key Takeaways


以下 3 点が、今回のまとめです。
  • ユーザーの Micro-Moments に応え続ける質の高いアプリを作り、使い続けてもらうための仕組み(一例として、ディープリンク等)を取り入れる。
  • ユーザーの Micro-Moments を捉えるプロモーションを行う。
  • それらを実現するためには KPI の可視化と PDCA の遂行を行う。



連載: Google と考える Micro-Moments - 過去の記事はこちら

第 1 回: マーケターにとって見逃せない瞬間「Micro-Moments」とその活かし方
第 2 回: Micro-Moments を活かして認知を獲得し検討を促す
第 3 回: Micro-Moments を活かしてコンバージョンを増やす




*1 Mail Online, “How often do YOU look at your phone? The average user now picks up their device more than 1,500 times a week”, 2014 年
*2 Flurry, “Apps Solidify Leadership Six Years into the Mobile Revolution”, 2014 年
*3 Google and Ipsos Media CT, 2014 年
Google partnered with Ipsos MediaCT on the Consumer Mobile Apps Study to uncover consumer smartphone app acquisition and usage behaviors. Online survey was conducted Sep. 12-22, 2014 in the U.S. among 8,470 smartphone users aged 18-64 who have used any smartphone apps in the past 7 days and have used Entertainment, Finance, Gaming, Local, Retail, Social, Tech, or Travel apps in the past 30 days.
*4 Nuance, 2011 年
*5 Localytics, 2014 年
*6 リクルートマーケティングパートナーズ様からの情報提供
*7 Fast Company, 2014 年
*8 食べログ様からの情報提供
*9 comScore US Mobile App Report, 2014 年
*10  Google and Parks Associates, Consumer Apps Survey, 2014 年

Posted by 水谷 嘉仁 - パフォーマンスソリューション エキスパート

1.  Micro-Moments を見極め、「最適なメッセージ」を「最適なタイミング」で届ける



世界中で 1 日に検索数は 30 億回を越え、日々検索される語句の 15% は今までに検索されたことがありません。*1

検索語句のレポートを分析していると、こんなのどうやって検索したの?と思うことが多々あります。コピペや音声検索でしょうか、特にモバイルの検索語句では、非常に長い住所であったり、まるで温泉の効能のような文章など予測することが難しいものが多くあります。おそらくどこか旅行先の温泉をさがしている Micro-Moments とも推測できます。

こうした多様化した生活者の Micro-Moments を柔軟に捉えるためには、従来のキーワードによるターゲティングでは限界があります。そこで、ターゲティングを自動化する「動的検索広告」を活用すると、自社のウェブサイトに関連する検索語句に対して自動で広告を配信することが可能になります。

その動的検索広告を国内で一番活用し、生活者の Micro-Moments を的確に捉えていらっしゃる楽天市場とリクルートライフスタイルに検索広告キャンペーンのデータを提供頂き、今年の 3 −4 月にかけての 1 日における時間帯別の Micro-Moments をそれぞれグラフ化してみました。


楽天市場のデータより


オンラインショッピングの Micro-Moments をデバイスごとに見てみると、モバイルのクリック数が終日においてパソコンを上回っています。生活者が「何か買いたい」と思ったときに、いかにモバイルで情報を検索しているか読み取ることができます。

ちなみに昨年のデータと比べると、昨年の同時期にはなんとパソコンのクリック数が終日においてモバイルを上回っていました。この 1 年で、モバイルのクリック数が 3 倍以上に伸びており、オンライン ショッピングはモバイルファーストになったと言えるでしょう。




リクルートライフスタイルのデータより


レストランでは、生活者が「何か食べたい」とレストラン情報を探すクリックは、お昼と夕方の食事時にピークを迎えます。特に夕方には、パソコンとモバイルのピークに時差があるのも特徴的です。やはり、モバイルでは外出先での直前の情報検索が多いことが想像され、まさにモバイルならではの Micro-Moments であると言えるでしょう。

また美容では、生活者が「髪を切りたい・ネイルをしたい」とモバイルで情報を探す時間帯には、1 日の中で大きく 4 つのピークがあるようです。察するに、学生であれば授業の合間の休み時間や、会社員であれば終業時間でしょうか。こと美容についての Micro-Moments は圧倒的にモバイルからになっています。




個々の生活者の Micro-Moments を継続的に捉える


ある調査によると、95% のサイト訪問者は初回訪問時にコンバージョンしないまま離脱し*2、また、49% のサイト訪問者はコンバージョンするまでに 2 −4 回再訪問するとも言われております*3。一方で、ターゲットを絞った広告は、その効果の度合いが 2 倍になるというデータも出ています*4。せっかく認知・検討段階でサイトを訪問した生活者を、コンバージョンまで落とし込めるかは、いかに「個々」の生活者の Micro-Moments を「継続的」に捉えられるかにかかってきます。

そのためには、サイト訪問者との接点をできるだけ多く把握する必要があります。まず最初に、ウェブサイトに訪れた生活者のサイト内での行動履歴を収集し、適切にセグメント化します。ここで、陥りがちな「策士策に溺れる」パターンに気をつけてください。より詳細に生活者をセグメント化しようと、リマーケティング リストを細分化し過ぎてしまい、実際の広告運用に活用できなくなるケースをよく見かけます。

そんな時は、Google アナリティクスのスマートリストをご活用ください。スマートリストは Google アナリティクスの 250 以上ものシグナルを使って、サイト訪問者の中からコンバージョンの可能性の高いパターンを分析し、リマーケティング リストを自動で作成します。

データ収集とセグメント化の準備ができたら次は、実際の広告運用です。検索広告・ディスプレイ広告ともにリマーケティングを活用して、個々のサイト訪問者が再度検索をしたりコンテンツを閲覧している、まさにその Micro-Moments を逃さず再びアピールします。

また、サイト未訪問者に対しても、Google ディスプレイ ネットワーク、YouTube, Gmail を通じて、生活者が購入を検討している Micro-Moments を見極め、積極的にサイト訪問を促すことが可能です。

主にディスプレイ広告は認知・検討からコンバージョン、検索広告は検討からコンバージョンにかけてよく機能します。たとえ検索広告・ディスプレイ広告のキャンペーンを別々に運用していても、広告を通してリーチする生活者は同じであると考えるべきでしょう。リマーケティング戦略としては、認知・検討・コンバージョン、そしてその後のリレーションシップの強化まで、個々の生活者の  Micro-Moments を検索・ディスプレイ ネットワークをまたいで包括的に捉える必要があります。


自動化の活用


Micro-Moments を捉えるベストプラクティスとしては、ターゲティング、広告、入札単価を自動化することが効果的です。検索ネットワークでは、動的検索広告と検索広告向けリマーケティング リストと自動入札の目標 CPA を併せて活用することで、インデックスされたウェブページを活用し、訪問歴がある生活者に向けメッセージと入札単価を最適化することが可能になります。

一休レストランでは、ターゲティング・広告・入札単価の調整のすべてを自動化することで、モバイルのコンバージョン数を昨年対比で+136% に倍増することに成功しました。また、動的検索広告の検索語句レポートより、鉄板焼きやアフタヌーンティーの需要の変化をタイムリーに捉えて特集ページを開設し、それらをディスプレイ広告として運用することで新規顧客の獲得にも取り組むことができました。



ディスプレイ ネットワークで Micro-Moments を捉えるには、ぜひ、動的リマーケティングと自動入札の目標 ROAS を併せて活用してみてください。そうすることで、訪問歴がある生活者に向けメッセージと入札単価を最適化することが可能になります。

楽天市場では、動的リマーケティングで手動入札と自動入札をテストしたところ、自動入札において販売数では +12%、売上では +14% の増加が確認できました。その後、予算の拡張や目標  ROAS を調整しながら販売数を 2.6 倍、売上を 2.9 倍に成長させるまでになりました。まだ手動で入札単価を調整されているキャンペーンがあれば、ぜひ、活用してみてください。



モバイルサイトのユーザー エクスペリエンス


「最適なメッセージ」を届けるということは、広告だけではありません。広告を通して生活者がたどり着くウェブサイトも重要な役割を占めます。せっかくモバイルでの Micro-Moments を見極めても、モバイルサイトでのユーザー エクスペリエンスが良くないと簡単にはコンバージョンには結びつきません。

ユーザー エクスペリエンスの悪いモバイルサイトで広告を運用することは、野球で例えるなら打率の悪いバッターをひたすら打席に送るようなものでしょう。基本的なモバイルフレンドリー施策を抑えた上で、モバイルサイトのユーザー エクスペリエンスを高めるための 25 の設計指針も併せてご確認下さい。

LIVESENSE では、ユーザー エクスペリエンス改善の結果、コンバージョン率(応募率)は 16.7 ポイントも改善され、モバイルからの応募数が昨対比で +40% も増加しました。


2. Micro-Moments を活かせたか効果を測定する


多くの方はオンラインでのラスト クリックのコンバージョンを効果測定の指標にされていることでしょう。現時点では弊社の自動入札機能もラスト クリックのコンバージョンを基準にしているのでこれは仕方がないかもしれません。

ただし、デバイスをまたいだコンバージョンは統計的に 95% の信頼がないとレポートに表示されません。つまり、この数字がレポートされているキャンペーンについては確実にデバイスをまたいでコンバージョンしている生活者がいるといえます。生活者のモバイルでの  Micro-Moments を的確により多く捉えるためには、まずは、オンラインでのラスト クリックのコンバージョンを超えて、推定合計コンバージョンのレポートを見ることから始めてください。


3. Key Takeaways


まずは可能な限りの自動化をしてください。ターゲット、広告、入札単価のすべてを自動化することが、Micro-Moments を効率的に活かすポイントになります。

そして、モバイル UX の最適化をしてください。素晴らしいユーザー エクスペリエンスを提供することが、Micro-Moments を最大限に活かすポイントになります。

最後に、アトリビューションを活用しはじめてください。ラスト クリックを超えたコンバージョンを考慮することが、これまで以上に Micro-Moments を適切に捉えるポイントになります。

次回は "Micro-Moments を活かしてリレーションシップを強化する" というテーマで、弊社パフォーマンスソリューション エキスパートの緑川から投稿します。


連載:「Google と考える Micro-Moments」- 他の記事はこちら


第 1 回: マーケターにとって見逃せない瞬間「Micro-Moments」とその活かし方
第 2 回: Micro-Moments を活かして認知を獲得し検討を促す
第 4 回: Micro-Moments を活かしてリレーションシップを強化する




*1 Google 調べ
*2 Understanding Shopping Cart Abandonment(ショッピング カートの放棄に関する分析)、Forrester Research、2010 年 5 月
*3 Google/Compete によるスポーツ用品に関する調査:(2011 年 9 月~2012 年 9 月)クリックストリーム BF02(アクセスしたブランドの数)
*4 Media Economy Report, Magna Global, 2014 年

Posted by 田島 弘教 - 新規顧客開発本部 企業戦略部 アカウントエグゼクティブ

山口県を中心に 3 店舗のアミューズメント施設を運営する株式会社マルギン。これまで折込チラシで店舗集客を行っていましたが、大阪地域への新規出店に際して、Google のオンライン広告を初めて利用しました。来店者に行ったアンケートからは、オンライン広告が折込チラシと同程度の集客効果を 1/10 の広告予算で実現していたことがわかりました。


折込チラシではリーチできない層への新店告知方法を模索


店舗集客には折込チラシを長年利用していた同社。若年層を中心に新聞購読率が低下していたため、大阪への新規出店時には、折込チラシを見ていない層にもオープン告知ができる方法を模索していました。同時に、これまで効果を測ることが困難だったチラシについて、会員アンケートによる効果検証を試みました。


ウェブ動画を中心としたオンライン広告を大阪市内で展開


店舗のオープンをわかりやすく伝えるために、タレントを起用した動画を作成し、新規出店エリアである大阪市内のユーザーに YouTube 広告を配信しました。

特に新聞の購読率が低い若年層に対しては、関連するサイトにイメージ広告を配信し、さらに検索キーワード(「●●+地域名」「●●+オープン」、など)に対しても広告を配信することで、新店オープンを幅広く告知しました。


従来の折込チラシと同程度の効果を 1/10 の予算で実現


オンライン広告はこれまで利用実績がなかったため、まずは折込チラシの 1/10 の予算におさえて実施しました。実際の来店者へアンケートを行ったところ、結果として約 1/3 の人がオンライン広告をきっかけに来店しており、チラシとほぼ変わらない集客実績につながっていることがわかりました。




「オンライン広告は、地域を限定し、かつ広告規制に対応しながら柔軟に広告を配信する手法として、私たちの業態にフィットすることがわかりました。特に動画広告は 1 表示あたりの費用が 1 円以下で、15 秒以上の再生でも 7 円程度と、折込チラシと比較して安い金額でターゲット層にオープン告知を行うことができました。今後も新規出店の際には積極的に活用していきたいと考えています。」(株式会社マルギン 朴 様)

* PDF 版の事例はこちらからダウンロードできます。

Posted by Yuli Weng - ブランドソリューション エキスパート


Google では広告投資の効果を把握するため「ブランド効果測定」という機能を提供しています。2015 年 7 月現在は、TrueView 動画広告(YouTube)やディスプレイ広告(テキスト広告以外の Google ディスプレイ ネットワーク)の出稿期間中にその効果を測定することができます。

この「ブランド効果測定」の具体的な特徴は、下記の通りです。

  • 調査対象者は、広告接触者層と広告非接触者層(広告主が設定したターゲット ユーザーにキャンペーンとは無関係な別広告を表示)。バイアスを取り除き高い調査精度を実現
  • 広告掲載期間中に数値の確認が可能、運用中の広告キャンペーンの改善につなげることが可能 
  • トラッキング タグは不要
  • デスクトップ、モバイル*/タブレット 共に計測可能
  • 測定のための追加費用は不要

「ブランド効果測定」は、「ブランドリフト調査」(アンケートによる広告想起率、ブランド認知度調査)と、「サーチリフト測定」(オーガニック検索上昇率)の 2 種類があります。2014 年の提供開始からこれまでに日本で 570 件ご利用をいただいています。その中から、今回は、株式会社CHINTAI と株式会社ジェーシービーの事例をご紹介します。


* 2015 年 7 月現在、モバイル測定で可能なこと:
  • ブランドリフト調査: YouTube モバイルアプリのみ測定可能
  • サーチリフト測定:
    • TrueView 広告: YouTube アプリからの広告接触については、YouTube にログインしていたユーザーのみ測定が可能(モバイルブラウザからの広告接触では非ログインユーザーも測定可能)
    • ディスプレイ広告: モバイルブラウザで広告に接触したユーザーのみ測定が可能



株式会社 CHINTAI の「ブランド効果測定」活用事例


株式会社CHINTAI は、情報誌「CHINTAI」や、インターネット サイト「CHINTAI ネット」をはじめとする各メディアに、空室情報を掲載する広告事業を展開しています。これまでは TVCM や交通広告を中心にプロモーションを行ってきましたが、2014 年後半からは YouTube TrueView 動画広告を含め、インターネット メディアも活用したブランド構築に取り組んでいます。今回、ターゲットである男性若年層の認知度向上を目的に YouTube TrueView 動画広告を本格的に導入し、「ブランド効果測定」を利用しました。


測定結果


今回の調査では、デモグラフィック セグメントごとに認知度効果を計測しました。ターゲットである男性若年層(18-34 歳)に絞った計測結果では、「CHINTAI」のブランド認知度は +20% 上昇(広告接触者 v.s.広告非接触者での認知度の上昇率)しました(ブランドリフト調査)。そして、ブランド名での検索数は +156% も増加し、その他関連キーワードの検索数も増加しました(サーチリフト測定)。この結果より、本キャンペーンの目的であった男性若年層への認知向上に成功しただけでなく、検索数増加による興味/関心の向上にも効果を与える結果を確認できたのです(図 1 参照)。



(図 1) CHINTAI 「ブランド効果測定」の結果
ソース: ブランド効果測定
期間: 2015 年 1 月 4 日~2015 年 1 月 31 日
有意差検定(片側検定 有意水準 10%)の結果、有意差が認められた


株式会社ジェーシービーの「ブランド効果測定」活用事例


株式会社ジェーシービーは日本発唯一の国際クレジットカード ブランドとして、現在では海外加盟店約 2,000 万店、海外会員約 2,000 万人、190 の国と地域に事業を展開(2015 年 6 月時点)。中期経営計画では ASEAN 諸国を中心に海外会員数の飛躍的拡大を掲げています。海外の会員が訪日して、日本の加盟店で JCB カードを使う取引量も飛躍的に増加しています。今回、ターゲットであるアジア主要国(台湾・インドネシア・タイなど)の訪日旅客の認知度向上のため、YouTube TrueView 動画広告および Google ディスプレイ ネットワーク バナー広告を導入。ターゲット地域の中でも、旅行/金融系のアフィニティと購買意向の強いユーザーに絞り、潜在顧客へのリーチを強化しました。その効果測定のため「ブランド効果測定」を利用しました。


測定結果


ブランドリフト調査にて広告想起率とブランド認知度を計測した結果、広告を出稿した国のすべてで、広告主が設定したターゲット ユーザーについて広告想起率とブランド認知度の両方が大幅に上昇しました。とりわけインドネシアなどの新興国では高いリフトアップ効果が見られ、YouTube 動画広告が大きく貢献したことが確認できました(図 2 ジェーシービー「ブランドリフト調査」の結果参照)。



(図 2 )ジェーシービー「ブランド認知度測定」の結果
ソース: ブランド効果測定
期間: 2015 年 3 月 2 日〜 3 月 31 日
有意差検定(片側検定 有意水準 10%)の結果、有意差が認められた


*PDF 版の事例はこちらからダウンロードできます。


株式会社CHINTAI
http://www.chintai.net/

情報誌「CHINTAI」、インターネット サイト「CHINTAI ネット」をはじめとする各メディアに、アパート・マンション・貸家などの空室情報を掲載する広告事業を展開


株式会社ジェーシービー
http://www.jcb.jp/

日本発唯一の国際クレジットカード ブランドとして、国内外で会員約 9,000 万人、加盟店約 2,900 万店、190 の国と地域に事業を展開(2015 年 6 月時点)


「Google 広告 ブランド効果測定」の概要
YouTube TrueView 動画、Google ディスプレイ ネットワーク広告出稿期間中にその効果を測定する調査です。
現在日本ではブランドリフト調査(アンケートによる広告想起率、ブランド認知度調査)と、サーチリフト(オーガニック検索上昇率)の 2 種類の方法で測定できます。詳細は弊社担当営業までお問い合わせ下さい(2015 年 7 月現在で「ブランド効果測定」は担当営業のいるお客様のみご利用可能です)。

本資料は、2015 年 7 月時点の情報をもとに構成しています。

Posted by 齊藤 光正 - 広告ソリューション エンジニア,  是澤 優和 - 代理店営業マネージャー

AdWords スクリプトは、AdWords の管理画面上で JavaScript を活用することで、より効率的にアカウントを管理できる機能です。今回は、AdWords スクリプトの中でも Ad Parameterizer(広告テキストを管理する Ad Customizer の 1 機能、以上すべて英語記事)を通じて時間単位で広告テキストを更新し、クリック率を平均で 150% から 200%、コンバージョン率を 20% から 50% 改善した事例をお伝えいたします。


課題 - 時間に合わせて広告を変更する


サイバーエージェントが日々運用している数多くの業種のクライアントの中には、ユーザーの緊急の要望に応えられるよう、24 時間サポートや各種体制を整えている企業も多数存在します。その代表的なものが金融業界のクライアントです。同社ではこれまで、「今すぐ」「いつでも対応」といった言葉を広告文中に含めることで、そうしたクライアントの魅力を伝えられるよう努めてきました。

一方で、そうした抽象的な言葉にとどまらず、具体的な時刻を示すことで、時間を意識しているユーザーの関心をより確実に引きつけられるのではないかと仮説も持っていました。

しかし、既存の自動化ルールなどの手法では時間の数だけ広告文を作る必要があり、運用コストを考えると中々仮説の検証に踏み込むことができませんでした。


課題への施策 - Ad Parameterizer の活用


そこでサイバーエージェントでは、AdWords スクリプトの機能である Ad Parameterizer を活用し、現在時刻をテキスト広告に反映することを実現しました。

まず以下の例の広告見出しにあるように、広告文の中に {param} を設置し、Ad Parameterizer で広告テキスト内にある時間を動的に変更できるようにします。

また AdWords スクリプトを活用することで通常の JavaScript と同様、new Date() のような形で日付オブジェクトを活用し、そのオブジェクトから時間を取得することができます。取得した時間を上記で設定した {param} に反映させることで、1 時間単位で広告を変更することが可能です。



クリック率を 150% から 200% 改善



結果、「今すぐ」「いつでも対応」という文言の場合と比較して、現在時刻をテキスト広告に反映した場合、クリック率を平均で 150% から 200%、コンバージョン率を 20% から 50% 改善することができました。Ad Paramerterizer を活用すると、広告テキスト内の数値が変更される度に広告の審査を待つ必要がなくなるため、広告を時間の数だけ作成する場合に比べて早くキャンペーンを開始することもできました。


今後の展望


「今回の事例ではユーザーが意識している『時間』を訴求した広告を出すことで大きな効果が得られました。今後も弊社のもつノウハウとテクノロジーを融合させて新たなソリューションを提供していく予定です。」(北出 庫介様 - 株式会社サイバーエージェント アドテク本部 オペレーションテクノロジー事業部)


Ad Customizer をご利用希望の皆様へ


Ad Customiser をご利用希望のお客様は本ブログ冒頭のヘルプページを是非ご覧ください。


株式会社サイバーエージェント
http://www.cyberagent-adagency.com/
サイバーエージェントは 1998 年の創業以来、インターネットに特化した広告事業を
展開し、業界最大手企業として事業拡大を続けています

Posted by 山本誠 - 代理店営業マネジャー



免許百科は全国 140 校の自動車学校が掲載されている教習所のポータルサイトです。広告予算はデジタル広告を中心に利用しているものの、社内に専任の担当が存在しないため、中小・ベンチャー特化でインターネットマーケティングを横断的に支援している広告代理店のソウルドアウトがデジタル広告を運用しています。

今回、免許百科において昨年 10 月にすべての業種で利用可能になった動的リマーケティングを導入して高い成果を上げました。


導入の背景と課題


免許取得のニーズはシーズンによって大幅に開きがあり、春休みや夏休みの繁忙期の顧客成約単価は閑散期の 3 倍に跳ね上がることもあります。この繁忙期の限られた期間の中で効率的に成約数を増やすために、免許百科では動的リマーケティングを活用する前から通常のリマーケティングを利用していました。

通常のリマーケティング実施時には、その他の検索やディスプレイ広告よりも 40% 程度低い顧客成約単価を実現していましたが、ユーザーの教習所ページの閲覧履歴(興味)に合わせて広告を展開できれば、さらに顧客成約単価を下げることができるはずという考えがありました。しかし、通常のリマーケティングでそれを実現するのは困難でした。


解決策 - 動的リマーケティングの導入


2014 年の 10 月に AdWords において EC 業種に限定されていた動的リマーケティングがすべての業種で利用可能になりました。動的リマーケティングを利用するには、対象の商品やサービスのフィードを作成する必要があります。このフィードが準備できていないことが理由で導入が進まないケースがあるのですが、免許百科では広告代理店のソウルドアウト専任担当者主導でサイトの情報を元に「サービス名、画像、価格」などのフィード情報を構築しました。その結果、免許百科では動的リマーケティングが利用できるようになった直後の 2014 年中に利用を開始できました。


<動的リマーケティング概要>


 
<動的リマーケティングで選択する業種カテゴリ>



<免許百科が実際に利用したバナー>
通常のリマーケティング
動的リマーケティング(サンプル)



結果 - 成約単価を 24% 改善しつつ、コンバージョン数 167% 増加


動的リマーケティングを通常のリマーケティングと同時期に約 1 ヶ月間並行して実施した結果、平均して成約単価は 24% 改善、成約数は 167% 増加しました。

ユーザーの興味関心にあったリマーケティングができたためにクリック率が極めて高く、コンバージョン率も同様に高い結果となりました。結果として、成約単価が低くなったため、動的リマーケティングに多くの予算を使うことができ、成約数が飛躍的に伸びています。





※同時期に約 1 ヶ月間並行して実施した結果



ソウルドアウト様のコメント - 成功のポイントと今後の展開


「当社では地方及び中小・ベンチャー企業へのインターネットマーケティング支援に特化させていただいております。当社クライアント様の多くは小資本で大手競合と戦わなければならず、且つ短期間での成果実績を求められるケースが大半です。一方で AdWords は日進月歩で機能改善、新規プロダクトのリリースが行われています。

当社ではこのような背景を踏まえ、クライアント様に先行優位性を持って市場で戦っていただけるよう、最新プロダクトの導入支援を注力しております。

ケースバイケースかと思いますが、今回の動的リマーケティングのようなプロダクトは特定業種(EC)では王道施策となっていてもそれ以外の業種では展開が遅れているケースもあります。そのような際の先行優位メリットは計り知れないものがあり成果実績としてクライアント様へお返しできることが多くあります。

尚、AdWords 以外の動的リマーケティング広告に目を移すと、出稿にあたって出稿金額や該当サイトにおける最低訪問数などの制限があり、規模感がないとそもそもの出稿ができないことがありますが、AdWords ではその制限がない上に、これまで通常リマーケティングで蓄積したユーザーリストをフル活用し、ターゲティング精度を高めた形で配信することがすることができたため、中小規模のクライアント様にとっては特に成果に繋がりやすかったものと考えております。

今後も AdWords 最新プロダクトにはスピード感をもって対応していくことでクライアント様の成果最大化に努めてまいります。」


ソウルドアウト株式会社 ウェブマーケティング本部 浅見本部長(写真左から 2 番目)





免許百科
ソウルドアウト株式会社
 リスティング広告の費用対効果を改善する情報サイト「LISKUL」
 ウェブ マーケティングの成果改善を支援するニュースサイト「conv」
ソウルドアウトは、全国 23 の拠点を持つ中小・ベンチャー企業専業のウェブ マーケティング支援会社。 ※オプトホールディング グループ会社

参考
動的リマーケティングがすべての業種で利用可
動的リマーケティング設定ガイド