Posted by 小澤 未生 - シニアマーケティングマネージャー

スマートフォンの普及による生活者の変化


日本人の 50% 以上がスマートフォンを手にするようになった現在、生活者の生活環境が大きく変わってきている。我々マーケターがこの変化をどのようにうけとめ、どのような戦略をとるべきかについて、これから 4 回連続で記事をお届けし、考えてみたい。

第 1 回目は導入編として、そもそも「Micro-Moments」とは何か、そしてそれを活かすための 3 つのステップについて紹介したい。

例えば、ドライヤーが故障し、買い替えなくてはならない場合、生活者はどうするか?昔は電気店に足を運んでドライヤーを買っていたが、テクノロジーが発展した現在では、「新しいドライヤーを買いたい」という思いを実現する手段が多数存在する。

たとえば、パソコンからの購入はもはや当たり前になっており、さらには、スマートフォンだけで検索、比較して購入に至ることも多くなっている。事実、日本での全オンライン ショッピングのうち既に 49% がスマートフォン経由だというデータも存在する *1。また、スマートフォンで検索した後、パソコンで購入するケースもあれば、パソコンやスマートフォンで調べた後に、最終的には実店舗で購入するケースもあり得る。

このように、スマートフォンの普及によって、生活者が「何かをしたい」という意図を実現する手段が増えている。


マーケターにとっての Micro-Moments


こうした変化に伴い、マーケターが生活者の「意図」に触れる瞬間も増えている。Google では、このような瞬間を、「Micro-Moments」と呼んでいる。Micro-Moments とは、「何かをしたい」という意図が生じたとき、すぐに目の前にあるデバイスを使って調べる・買うといった行動を起こす瞬間を意味する。そしてこの瞬間は、生活者が何かを決断したり、ブランドに対する好みを形成する大切な瞬間でもある。

Micro-Moments が格段に増えた現在、マーケターには生活者の「意図」を理解し、活用するチャンスも増えた。では、Micro-Moments を活かしたマーケティングに必要なことは何であろうか?

1 つ目は、ブランドにとっての大切な Micro-Moments を見極め逃さないこと。2 つ目は、Micro-Moments における生活者の「意図」を汲んだうえで、「最適な情報」を「最適なタイミング」で届けること。そして 3 つ目は、Micro-Moments を活かす施策の効果測定を行うことである。この 3 点は、たとえマーケティング目的が何であろうとも、普遍的である。

ここからは、購買ファネル上の認知、検討、コンバージョン、リレーションシップ強化というそれぞれの目的に沿って、上記 3 ステップを実践するための具体的な方法を見ていこう。


1. Micro-Moments を活かして認知を獲得し検討を促す


ブランド コンテンツや広告を見たあとの行動をスマートフォンとテレビで比較した調査で、興味深い結果がでている。企業のウェブサイトへの訪問経験、購入、クチコミ、好意度形成、動画の共有などにおいて、スマートフォンがテレビを上回っており、特に「共有」については実にテレビの約 4 倍という結果が得られた *2。これは、極めてパーソナルなデバイスであるスマートフォンが、ブランド メッセージを伝え、個人の行動を促す可能性が高いことを示している。

このような結果を得るには、単にスマートフォン対策をとりさえすれば良いわけではない。大きく 3 つの施策が必要である。

  1. まずは日常生活の中で膨大に発生している Micro-Moments を捉えるため、幅広いリーチを獲得する。
  2. Micro-Moments を的確に捉えるため、生活者のコンテクストを正しく把握する。
    具体的には、スマートフォンが可能にするオーディエンス、コンテンツ、ローケーション、そしてリマーケティングなどの豊富なターゲティング機能の活用により、幅広く個々の生活者の Micro-Moments を掴むことが重要である。
  3. ブランド メッセージのインパクトを確保する。これにはクリエイティブもスマートフォン環境に合わせることが効果的である。

このような施策の効果を見極めるには、広告想起率やブランド認知度の測定、検索上昇率の測定が効果的である。


2. Micro-Moments を活かしてコンバージョンを増やす


日々検索される語句のうち、なんと 15% は今までに検索されたことのない新しい語句であり、Micro-Moments も日々変化している *3。この変化を柔軟に捉えてコンバージョンを導くためには、従来のキーワードによるターゲティングだけでは限界がある。

そこで、自社のウェブサイトに関連する検索語句に対して、自動でターゲティングし広告を配信するなど、変化に応じた最適化が大切になってくる。その際はターゲティングだけでなく、広告や入札単価においても、自動化を活用し継続的にパフォーマンス改善を図ることが効果的である。

また、95% のサイト訪問者は初回訪問時にコンバージョンしないまま離脱し*4、49% のサイト訪問者はコンバージョンするまでに 2−4 回再訪問するというデータがある *5。サイトの訪問者をコンバージョンまで落とし込めるかは、ユーザー エクスペリエンスにかかっている。Google ではモバイル サイトのユーザー エクスペリエンスを高めるために、モバイルサイト作成における 25 の設計指針を提案している。ぜひ活用してほしい。

こうした施策の効果はラスト クリックだけでは測れない。オフラインとオンラインをまたいだコンバージョンや、パソコンとスマートフォンなどのデバイスをまたいだコンバージョンなど、購買ファネルの上流の動きを考慮に入れた見極めが重要である。


3. Micro-Moments を活かしてリレーションシップを強化する


生活者の Micro-Moments を継続的に捉えリレーションシップを強化する上で、アプリは欠かすことができない領域である。生活者は 1 日に平均 200 回スマートフォンを使い、利用時間の 86% はアプリ上のものだ *6。モバイル サイトにくらべて、アプリは豊富なユーザー インターフェイスやユーザー エクスペリエンスによって、高い反応率を実現できる。つまりモバイル サイトに加えてアプリを持つことで、生活者の Micro-Moments をより確実に捉え、継続的なリレーション構築、高い LTV (顧客生涯価値)が実現できる。

リレーションシップを強化できるアプリの特徴は主に 3 つある。
  1. まずは、シンプルでわかりやすく、生活者のニーズにしっかりと応える品質の高いアプリであること。
  2. コンバージョン フローが簡潔であること。例えば、実際にアプリで何かを買おうとしたタイミングで、入力情報が多ければ生活者は離脱してしまう。
  3. ディープ リンクなどのリテンション施策を活用し、生活者をできるかぎりアプリに誘導するなど、生活者を定着させる策が施されていること。

一方で、せっかく高品質のアプリを作っても、インストールされなければリレーションシップ強化にはつながらない。インストール促進の際にも、Micro-Moments が重要になる。実際 75% の生活者がアプリをダウンロードする前になんらかの検索や比較を行っている。生活者との接点である掲載面(検索結果画面、アプリ閲覧、ウェブ閲覧、動画視聴など)でのアプリプロモーションも、大切なアクションである。

そしてアプリの効果を見極めるには、アプリの CPI(1 インストールにかかるコスト)とともに、アプリによって実現する LTV(顧客生涯価値)も継続的にみていくことが重要である。


Micro-Moments を活かしたこれからのモバイル マーケティング


スマートフォンの普及により、マーケターが生活者の意図をよみとれる Micro-Moments が格段に増えており、それを的確にとらえられることが、そのブランドの成功の鍵を握るといっても過言ではない。モバイル マーケティングに取り組んでいる企業は多数存在するが、成功の糸口が掴めないという声もたびたび耳にする。今一度、「生活者の Micro-Moments を正しく見極め、最大限に活かせているか。」という観点で、マーケティング施策を見直してみてはどうだろうか。

(次回は、本記事で紹介した 3 つのステップの中でも特に「Micro-Moments を活かして認知を獲得し検討を促す」方法に焦点をあて、弊社ブランドソリューション エキスパートの中村から具体的な施策を紹介する予定です。)



連載:「Google と考える Micro-Moments」- 他の記事はこちら


第 2 回: Micro-Moments を活かして認知を獲得し検討を促す
第 3 回: Micro-Moments を活かしてコンバージョンを増やす
第 4 回: Micro-Moments を活かしてリレーションシップを強化する





*1 Criteo 調べ  http://japan.cnet.com/marketers/news/35058049/
*2 Think with Google, Why Online Video Is a Must-Have for Your Mobile Marketing Strategy, 2015 April
*3 Google 調べ
*4 Understanding Shopping Cart Abandonment(ショッピング カートの放棄に関する分析)Forrester Research 2010 年 5 月
*5 Google/Compete によるスポーツ用品に関する調査:(2011 年 9 月~2012 年 9 月)クリックストリーム BF02(アクセスしたブランドの数)
*6 Mail Online 2014, ComScore stats 2014

Posted by 香川 美菜 トラベル担当 インダストリーアナリスト

Google は本日、2015 年のゴールデンウィーク(以下 GW)に関する旅行業界検索キーワード動向を発表しました。5 月の GW に向け国内で旅行業界関連の検索キーワードがどのように検索されているか、検索トレンドをまとめました。



GW の情報収集

旅行関連全般では、GW との掛け合わせで「旅行」や、「お勧め」、「穴場」などの口コミリコメンドを求めた検索が多く、目的地が決まっていないなか、広く一般的な情報収集のための検索が多いことがうかがえます。

旅行関連全般
1
 旅行
2
 お勧め
3
 イベント
4
 穴場
5
 国内旅行
6
 キャンプ
7
 宿泊
8
 新幹線
9
 フェス
10
 海外旅行
*調査期間 2015 年 1 月 1 日〜 3 月 21 日
**GW(ゴールデンウィーク)と掛け合わされて検索されたキーワード



訪問先別ランキング

訪問先別では、国内を中心に近場が多く検索されています。海外はハワイ・グアム・台湾、国内は沖縄・北海道・京都など、旅行先として定番かつ人気の高い国・観光地が多く検索されています。




海外+国内
海外のみ
国内のみ
1
沖縄 ハワイ 沖縄
2
北海道 グアム 北海道
3
ハワイ 台湾 京都
4
京都 韓国 ディズニーランド
5
ディズニーランド 中国 九州
6
グアム シンガポール 東京
7
台湾 香港 大阪
8
九州 セブ島 ユニバーサルスタジオ
9
東京 オーストラリア 屋久島
10
韓国 パラオ 箱根
*調査期間 2015 年 1 月 1 日〜 3 月 21 日
**GW(ゴールデンウィーク)と掛け合わされて検索されたキーワード



急上昇ランキング
対昨年比の急上昇でみると、北陸新幹線の開業で盛り上がっている「北陸」と「金沢」の伸び率が高いことがうかがえます。

他にも年初に積極的なプロモーションを打ち出しているパリ、昨年羽田発着便が就航したセブの検索量も増加しています。


訪問地別成長率 (海外+国内)
1
北陸
2
金沢
3
ユニバーサルスタジオ 
4
パリ
5
グアム
6
台湾
7
淡路島
8
セブ島
9
タイ
10
ハワイ
*調査期間 2015 年 1 月 1 日〜 3 月 21 日
**GW(ゴールデンウィーク)と掛け合わされて検索されたキーワード



多様化する旅行

近年、旅行先での人や自然、伝統文化を体験を取り入れた新しいタイプの旅行(ニューツーリズム)が創出されるなど、旅行の形態が多様化しています。これらは地域活性化に繋がる旅行形態として、観光庁などの国の機関も観光立国に向けた取り組みの一環として振興を図っています。

新形態の一つとして「ツーリズム」関連の検索ランキングを見ると、グリーン・エコなど早期に創出されたツーリズムだけでなく、海外で盛んな医療ツーリズム、オリンピック関連で注目を集めるスポーツツーリズムも多く検索されています。

特に医療ツーリズムヘルスツーリズムユニバーサルツーリズムは、成長率でもツーリズム関連検索の平均値より高く、注目度が高まりつつあることがうかがえます。

ランキング 10 位外でしたが、11 位に栃木県でグリーン・ツーリズムを手がける株式会社「大田原ツーリズム*」がランクインしていました。このように、単独で注目を集めるツーリズム団体が出てきているようです。

*大田原ツーリズムは、栃木県大田原市にあるグリーンツーリズムが体験できる施設


ツーリズム
1
グリーン ツーリズム
2
エコ ツーリズム 
3
医療 ツーリズム ↑
4
スポーツ ツーリズム 
5
ヘルス ツーリズム ↑
6
コンテンツ ツーリズム
7
ニュー ツーリズム
8
酒蔵 ツーリズム
9
ユニバーサル ツーリズム ↑
10
アグリ ツーリズム ↑
*調査期間 2015 年 1 月 1 日〜 3 月 21 日
*↑は特に成長率が高いもの



タイムリーな興味・関心がわかる検索動向

旅行シーズンのカレンダーに検索量は連動し、ピークの時期や大まかな検索トレンド(主要な訪問先の検索など)は例年同じ傾向が見られます。(図 1

旅行関連全般で見ると、GW 前の時期では国内旅行は 2 月および 3 月と 2 回ピークがある一方、海外旅行は 2 月末がピークとなっています。

GW 関連のみをみると、海外旅行は 1 月早期の段階から検索される一方、国内旅行は徐々に検索量が増え GW 直前 4 月にピークになることがわかります。(図 2

このように例年同じ傾向が見られる一方で、急上昇ランキングからわかるとおり、消費者の興味・関心は刻々と変化しています。








消費者の検索行動は旅行するタイミングよりも早期に起こるため、定期的に消費者の検索トレンドを分析、いち早く把握し、マーケティング活動につなげていくことが重要です。こうした検索動向の分析には、Google の無料オンラインツール、Google トレンド(http://www.google.co.jp/trends/)をぜひご活用下さい。

Posted by 第一広告営業本部 不動産業界担当 統括部長 白石智良 / インダストリーアナリスト 冨永泰弘 / アカウントマネージャー 岡部沙友里

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「プラウド」ブランドなどの「住宅事業」を中核に、「ビルディング事業」や「収益不動産開発事業」など幅広く不動産ビジネスを展開する野村不動産株式会社。変化が激しい不動産マーケット環境への対応は、ビジネス全体の課題でもあります。この事例では、顧客データベースと DCM(ダブルクリック キャンペーン マネージャー)の連携により、オンライン広告とオフライン広告の効果比較を物件への「来場」という同一 KPI で実現した取り組みをご紹介します。


導入の背景と戦略

野村不動産では、東日本大震災の復興需要や 2020 年東京五輪に向けた建設ラッシュによる資材費や人件費の高騰など、環境の変化やリスクに対応すべくマーケティング戦略の効率化を推進しています。しかし効率化の課題の 1 つとなっていたのが、広告メディアによる KPI の違いです。

不動産業界では一般的に、チラシなどオフライン広告の KPI は来場者数、オンライン広告の KPI は資料請求数と、異なる指標で管理しており、オフライン広告とオンライン広告で正確な効果の比較ができませんでした。野村不動産ではこれまでにもこの課題に対する施策を実施してきましたが、今回さらに先進的な仕組みにより「来場」という KPI で両メディアの効果を正確に計測し、投資対効果の最大化を目指しました。(図 1 参照)


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(図 1) KPI 統一化の概要図


施策における工夫とポイント

まずは顧客データベースと DCM のシステム連携を構築し、オンライン広告から資料請求したユーザーの広告接触履歴(ファースト クリック~ラスト クリックまですべて)と、モデルルーム来場者の紐付けを可能にしました。加えて、来場お礼メール内のリンクに DCM のコンバージョン タグを設置することで、直接来場者(資料請求をしていない来場者)についても、来場前の広告接触履歴を計測できるようにしました。

施策の計画において配慮した点は、KPI の定義と計測の正確性です。来場お礼メールを活用したオンライン広告経由の来場計測は、メール開封だけでは技術的に正確な計測ができない場合があるため、メール本文のリンク クリックを計測ポイントに設定するなどの配慮が必要でした。また、ラスト クリック ベースだけでなくファースト クリック ベースでの各メディアの数値も分析し、より多面的な投資対効果を計測することで、社内各部署で今後の広告宣伝費活用の客観的判断ができるよう工夫しました。


実施後の結果

今回の施策の 1 番の成果は、オフライン広告とオンライン広告の KPI を同じ来場単価で比較した場合、オンライン広告の圧倒的な優位性が明確になったことです。(図 2 参照 *グラフはオフライン広告の数値を 100 とした場合の数値)

オンライン広告の来場単価は、オフライン広告の約 4 分の 1 という数値が確認できたことで、よりオンライン広告を重視した投資戦略を立てることができます。


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(図 2) オンライン 対 オフライン来場単価比較(都心一物件における結果)


オンライン広告の来場単価を広告メニュー別に比較すると、検索広告、リマーケティングの効果が非常に高いことも確認されました。(図 3 参照)さらに、広告が貢献した直接来場の件数も今回初めて可視化され、特に検索広告・リマーケティングが生み出した全来場件数の 41% が直接来場だった(従来の資料請求ベースでの計測では効果として認識されなかった)ことが明らかになりました。

また検索広告、リマーケティング全体の来場単価に対し、AdWords の検索広告、リマーケティングの来場単価は 29% 低く AdWords の投資効率が一層高いことも明らかになりました。


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(図 3) オンライン広告 メニュー別来場単価(都心一物件における結果)


野村不動産では、新規物件の存在を知ってもらうための「認知重視」と、既に興味を持ったユーザーにアクションを起こしてもらうための「コンバージョン重視」の 2 カテゴリでオンライン広告メニューを展開しています。今回の新しい KPI 計測でメニュー別に、より正確な投資対効果が把握できました。今後は、この数値を活用し、各広告メニューの目的に応じた予算配分と投資の最適化対策を推進していきます。

さらに、認知重視のオンライン広告の効果を「来場者が最初に物件を認知するきっかけとなった媒体=ファースト クリック媒体」と定義して、ファースト クリック ベースとラスト クリック ベースで比較しました。結果、ディスプレイ広告(リマーケティングを除く)はファースト クリック ベースで見ると来場への貢献が想定以上に大きかったこともわかりました。(図 4 参照)

計測方法は異なりますが、これは同じく認知度向上を目的としたオフライン媒体であるチラシの一般的な効率を大きく上回る数値であり、ディスプレイ広告へ投資をシフトし、認知を増やすことで来場数を拡大できる可能性もみえてきました。


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(図 4) ラスト クリック 対 ファースト クリック 来場単価(都心一物件における結果)


今後の展望

野村不動産では、かねてよりオンラインへの積極的な投資を行ってまいりました。一方で、事業リスクを鑑みると思い切った投資のシフトは難しいというのも事実で、チラシや DM といった従来の手法が占める割合は依然として小さくはありませんでした。

そのような状況で、今回の結果はむしろ従来の手法に依存し続けることのリスクを示すものであり、これらの投資対効果が数値で明示されたことは、思い切った投資判断を行うに足る非常に重要な成果だと考えております。

今後は、常に変化を続ける市場環境に合わせて我々自身も進化し、日本の不動産業界のマーケティングにおける「新しいスタンダード」を創出する存在でありたいと思います。


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(野村不動産株式会社 住宅事業本部 営業企画部長 市川 明典 氏)


*PDF 版の事例はこちらからダウンロードできます。
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野村不動産株式会社
http://www.nomura-re.co.jp/
「住宅事業」、「ビルディング事業」や「収益不動産開発事業」、企業不動産価値の最大化をサポートする「CRE(企業不動産)戦略支援事業・法人仲介事業」、「資産運用事業」などの不動産ビジネスを展開

Posted by 冨永 泰弘 - 不動産業界担当 インダストリーアナリスト

景気や税制など、様々な要因に影響を受ける不動産業界ですが、その影響はインターネットユーザーの検索動向にも表れます。今回は、Google の検索エンジンにおける検索動向から見えてくる、不動産業界のトレンドをご紹介します。

「新築マンション」「東京 賃貸」などの不動産に関する検索は、過去 1 年に約 14% 増加しました。特に、第二次安倍内閣が発足し、いわゆる「アベノミクス」が始まった 2012 年末から増加し始め、2013 年の上半期に大きく伸びています。


▼不動産関連の検索数推移


一方、検索数の「対前年成長率」を賃貸や新築マンションといった領域ごとに見てみると、2013 年下半期に多くの領域で成長が減速したことがわかります。これは、消費増税を控えた駆け込み需要の反動減が、徐々に検索行動に表れ始めていることが要因と考えられます。

ただし、中古住宅とリフォームの 2 つの領域だけは下半期にも検索数の成長率が上昇し続けており、「中古住宅を購入してリフォーム」という選択肢への関心が引き続き高まっていくことが予想されます。(中古住宅取引の多くを占める個人間売買では、物件価格が消費税の対象とならないため)

不動産検討者は市況や税制に敏感に反応するため、市場の変化を捉えたマーケティング計画を立てていくことが重要です。検索動向の分析には、Google の無料ツール「Google トレンド」もご活用ください。


▼領域別検索数の対前年成長率


また、 2013 年の大きなニュースの 1 つとして、オリンピックの東京招致が決定しました。これを受け、開催地周辺である湾岸エリアのマンションにも注目が集まり、検索数が急増しました。その後、検索全体の数はほぼ収束したように見えますが、これらをさらにエリア名検索(例 :「晴海 マンション」)と物件名検索(例 :「○○レジデンス」)に分解すると、物件名検索は招致決定前より高い状態を維持しており、注目は続いているようです。


▼湾岸マンションに関する検索数動向


最後に、 2013 年の検索キーワードランキングをご紹介します。トータルの検索数が多かったキーワードとしては、ポータルサイト名や大手企業の社名などが上位に並びました。一方、 2012 年に比べて検索数が急上昇したキーワードを見ると、テレビ番組の舞台にもなった「シェアハウス」や、「企業名 CM 」といった検索がいくつか見られ、検索行動へのテレビの影響が伺えます。

テレビ視聴中にパソコンやスマートフォンを同時利用するユーザーが約 7 割に達する(Google「マルチスクリーン ワールド」より)ことからもわかるように、テレビとオンラインの役割は変化してきており、テレビで関心の高まったユーザーの受け皿としても、オンラインの重要性は高まっております。


▼不動産関連の検索キーワードランキング


不動産に関心を持ったユーザーに的確にアプローチをしていくため、AdWords を始めとするオンライン広告を、ぜひ積極的にご活用ください。

Posted by トラン ジュンイチ - 教育業界担当 インダストリー アナリスト

Google は本日、 2013 年の教育業界関連の検索キーワード動向から読み解く 2014 年の教育業界のトレンドを発表しました。

教育関連の検索は、過去 1 年で 31% 増加しており、特にオンライン教育に関する検索は過去 1 年で 22% 増加しています。モバイル端末の普及でオンラインで学べる環境が整ったことも一要因のようです。また、世界的にも大規模公開オンライン授業を提供する教育機関が増えているため、今後もこの傾向は続くことが予想されます。

<教育関連キーワードの検索推移>



<オンライン教育関連キーワードの検索推移>



習い事の検索推移をみると、2012 年末から、子供向けの英会話レッスンが増加しました。英会話は従来より人気がありますが、 2013 年の前年比の伸び率が 59% アップとなり、 2014 年以降も小学校における英語の必修化に伴い高い人気を維持しそうです。

<英会話関連キーワードの検索推移>



受験シーズンも本格化するなか、センター試験の検索動向を見ると 9 月から緩やかに盛り上がり、試験が実施される 1 月にピークを迎えます。

センター試験と掛け合わされる検索キーワードは、平均点、速報など、受験生の気持ちを反映しています。

<受験関連キーワードの検索の動向>



受験準備のための長期休暇中の講習は、実施開始の約 2 ヶ月前から盛り上がるので、教育関連企業は、需要期を検索が盛り上がる時期と合わせて、広告を出稿するなど、季節による検索動向を活かすことができます。検索ボリューム動向の分析には、 Google の無料オンライン ツール、  Google トレンド(http://www.google.co.jp/trends/)もぜひご活用下さい。

*本レポートは、2013 年 1 月 1 日〜 11 月 15 日までの Google の検索エンジンにおける検索ボリュームをもとに作成したものです。

Posted by キャリア & レストラン担当 シニアインダストリーアナリスト 大木 義昭

Google は本日、国内の 2013 年上半期の飲食業界関連の検索キーワード*動向を発表しました。

本レポートは、2013 年 1 月 1 日から 6 月 30 日までの間の Google の検索エンジンにおける検索ボリュームをもとに作成したものです。

飲食情報をオンラインで検索する率が年々増加するなか、飲食業界関連の検索キーワード*(以下「飲食系ワード」)が 2013 年上半期、どのように検索されたかを通じて、今年前半の飲食業界のトレンドを振り返ります。

主なワード例(一部):
*注:飲食業界関連の検索キーワードとは、Google が「飲食」市場・業種に分類しているキーワードのことです(キーワード例:外食/レストラン、カフェ、チェーンレストラン企業名、内食・中食/レシピ、宅配サービス企業名)


<全体>
  • 飲食系ワードの検索ボリュームは、2008 年以降上昇し続けており、2013 年上半期は、前年同期比 18% 増となりました。
  • 外食系ワードの検索ボリュームは、前年同期比 20% 増、内食・中食系ワードの検索ボリュームは、前年同期比 14% 増となりました。
  • スマートフォンなどのモバイル端末からの飲食系ワードの検索ボリュームは 2010 年から上昇傾向にあり、2013 年上半期は 67% と増加しました。
  • 外食系ワードのモバイル端末からの検索は検索全体の 70%、内食・中食系ワードは 62% を占めるまでに伸長しています。


<飲食系ワードの検索カテゴリーの推移>
  • 外食系ワードで最も検索ボリュームが多かったカテゴリーは「ファーストフード」。また「寿司」関連は、対前年 +32% の伸び率で高い成長を示しました。
  • 内食・中食系ワードでは、「レシピ」の検索ボリュームが多い一方、「宅配・弁当」も +23% と伸び、内訳はピザや弁当などが多く検索されました。


<飲食系ワードランキング>
  • 外食系ワードの検索が伸びるなか、「クックパッド」が 1 位となり、前年比に比べての伸び率も高くなりました。
  • 内食・中食系ワードでは、「ほっともっと」や「ドミノ・ピザ」などの検索が伸びた一方、寿司チェーンの検索が増加傾向となりました。


<飲食系ワードの急上昇ランキング>
  • 急上昇した飲食系ワードの 1 位は「ヘルシアコーヒー」。また安くて美味しいと話題の「いなば タイカレー」も 3 位と急上昇しました。
  • ランキング全体では「パンケーキ」が目立ち、パンケーキを提供する店舗名や「地域 + パンケーキ」という検索で複数ランクインしました。

Posted by マーケティング部 小澤 未生

日本のユーザーが日常生活で接触するメディアの 91% がスクリーンメディア(スマートフォン、パソコン、タブレット、テレビ)だということをご存知ですか?モバイルデバイスが普及した現代社会は、ユーザーが複数のデバイスを使う「マルチスクリーン社会」です。本日公開する「マルチスクリーン ワールド」は、マルチスクリーン社会における消費者行動とスマートフォン ユーザーの利用動向を、インタラクティブに楽しみながら知ることができるデータサイトです。

マルチスクリーン ワールド」調査データサイトの概要

本サイトは、マルチスクリーンとスマートフォンをテーマとした各種の Google 独自調査「The New Multiscreen World」「Our Mobile Planet」「Mobile Site Perception Study(GoMo)」からデータを抜粋し、項目別に見やすくご紹介しています。年代別、男女別でデータを比較することもでき、ビジネスに役立つ、マルチスクリーンに関するあらゆるデータをダウンロードしたり、メールや SNS で共有することができます。

マルチスクリーン ワールド」はパソコン、タブレット両方で閲覧することが可能です。タブレットで閲覧すると、タブレットを左右に振ったり、傾けたり、タップして各種データを並べ替えて、インタラクティブにデータの閲覧を楽しむことができます。

マルチスクリーン社会における消費者行動と、それがビジネスに与えるインパクト等、様々なデータを掲載した「マルチスクリーン ワールド」をぜひご活用ください。

トップページ代表的スクリーン デバイスデバイスの使い分け

Posted by 柿原 正郎 マーケット インサイト シニア リサーチマネージャー

2013 年 7 月 23 日、Google はスマートフォンの利用に関する調査「Our Mobile Planet」により、日本におけるスマートフォン普及率が 2011 年と比較し 4 倍以上となり、企業にとってスマートフォン市場が大きな可能性を秘めていることを明らかにしました。

IPSOS MediaCT との協力により実施した本調査からは、2 年前にはわずか 6 %だった日本人のスマートフォン普及率は、現在では 4 人に 1 人にまで拡大していることがわかりました。また、日本におけるスマートフォン利用率はアメリカやイギリスと比べても高く、10 人中 8 人がスマートフォンを毎日利用するまでになっています。これは、5 人中 4 人が外出時に必ず携帯を持ち歩くと回答しており、10 人中 7 人が毎日スマートフォンから検索を行うと回答していることからも明らかです。

しかし、ここまでスマートフォンが生活の必需品として浸透しているにもかかわらず、企業によるスマートフォンに最適化されたウェブサイトの運営率はまだ低く、多くの企業は増加するスマートフォン ユーザーのトラフィックに対応していないというのが現状です。

「国内の消費者がスマートフォンを取り入れている一方で、日本企業はまだ開拓の余地が残っています。まずは、顧客を知るという基本が非常に重要になります。市場の大きな可能性をモバイルから見つけることができれば、顧客の心をつかむこともできるでしょう。」(Google 広告ソリューション推進本部)

モバイルが普及するにつれ、企業の規模やビジネスを展開する国にかかわらず、日本企業も変化しようとしています。今スマートフォン ユーザーの 10 人に 8 人は、商品やサービスについて調べる際に携帯端末を利用しています。その内 3 人に1 人は、スマートフォンで検索した商品をパソコンで購入しており、4 人に 1 人は、実際の店舗で購入しています。その他の検索率の高い分野には、旅行(59%)や外食(46%)、求職(20%)などがあります。

本調査によると、スマートフォン ユーザーの約 10 人に 9 人が地域に関する情報を検索し、その内 10 人に 8 人が問い合わせ、来店、購入や予約といった何らかの行動をとっています。また、4 人に 1 人は、そうした地域検索を日常的に行なっています。

さらに、国内のスマートフォン ユーザーの 92% はモバイル広告を認識しています。つまり、企業はモバイル端末で見やすいウェブサイトを構築し、検索エンジン、モバイル ウェブサイト、スマートフォン アプリなどに広告を掲載することで、急速に拡大するスマートフォン市場をより効果的に攻略できます。

「企業の規模やビジネスを展開するエリアにかかわらず、日本企業はスマートフォンによって変化しようとしています。もし広告主が、スマートフォン戦略を開始するタイミングを待っているならば、すぐにでも始めることをお勧めします。」(Google 広告ソリューション推進本部)

モバイルからマルチスクリーンへ

日本の消費者はモバイルへ移行しただけでなく、マルチスクリーン化にも適応しています。国内のスマートフォン ユーザーの 3 人に 1 人は、TV よりもスマートフォンを選ぶと回答しており、多くのユーザーが両方を同時に使っています。そうしたスマートフォン ユーザーの大半は、TV 視聴中にも頻繁にスマートフォンを利用し、41% はコンピューターでインターネットにアクセスしている最中にもスマートフォンを利用しています。

また、スマートフォン ユーザーの 2 人に 1 人が、オフライン広告(TV、広告、印刷物など)で知った商品やサービスをスマートフォンから検索していることからわかるように、マルチスクリーン ユーザーへのリーチは非常に重要になります。

「私たちは以前から、マーケターの皆さまにモバイルへの移行の重要性を伝えてきましたが、もうそれだけでは不十分です。日本の消費者はマルチタスクのエキスパートであり、企業はデスクトップ、タブレット、モバイル端末、TV といったすべてのデバイスで展開できるキャンペーンを作り始めたほうがいいでしょう。」(Google 広告ソリューション推進本部)

Our Mobile Planet サイトについて

Google は Ipsos MediaCT の協力の下、2011 年から毎年継続して、 スマートフォンからインターネットを利用している国内の 1,000 人の成人男女(18 歳から 64 歳)を対象に市場調査を行いました。アンケートは 2013 年第 1 四半期に実施され、国内における対象の分布には CATI 調査と同様の基準が用いられています。

また、Our Mobile Planet サイトには、広告主、デベロッパー、そしてマーケターの皆さまのモバイルの知見を高め、独自にグラフを作成できるツールが用意されています。このツールでは、年間トレンドや属性別のデータを調べ、スマートフォンの利用動向を細かく検証できます。スマートフォンの利用動向を細かく検証できます。世界 48 カ国の 2013 年現在の情報もご利用いただけます。

Posted by 柿原 正郎 マーケットインサイト シニアリサーチマネージャー

今日の生活者のショッピング行動は、ますます複雑にマルチチャネル化してきています 。テレビ、新聞、デスクトップ PC、スマートフォン、タブレットなど、さまざまなメディアから生活者は多種多彩な情報を得て、実際の買い物でもオンライン・オフライン双方の様々な購入チャネルをますますスマートに選ぶようになってきています。また、オンラインの買い物でもオフラインの買い物でも、Google が提唱している ZMOT (Zero Moment Of Truth) *の重要性はますます高まっています。

* ZMOT とは、生活者の購入決定プロセスにおいて、購入意向を喚起させる「刺激(Stimulus)」と、実際の「購入(Purchase = First Moment of Truth)」の間に起こる、商品やサービスに関する事前のさまざまな情報探索のフェーズ、および Google がそれらを体系化した消費行動モデルのこと



こうした問題意識をもとに、Google はこれまで主に米国で ZMOT 関連調査を共同で実施した調査会社 Shopper Sciences 社と再び連携し、日本の生活者の購買行動におけるモバイルの役割と影響に特にフォーカスした「モバイル ショッパー リサーチ(Mobile Shopper Research)」を 2012 年 7 月から 9 月にかけて日本国内で実施しました。そのフルレポートから、ここで一部ご紹介したいと思います。

モバイル(スマートフォン)利用者のなかで、商品やサービスに関する情報を日常的にモバイルで調べる人は全体の 67% におよび、さらに日常的にモバイル上で購入する「モバイルショッパー」は、33% におよびます。また、モバイルショッパーの割合は、女性の若年層でさらに高まります。



モバイルショッパーの情報探索行動をより詳細に調べると、レストランや映画館の検索など、地域に関連が強い情報の探索にモバイルがより積極的に使われています。また、その傾向は男性より女性に顕著に表れています。



購入検討期間の長さや検討開始タイミングは、商品やサービスのカテゴリーによって大きく変わります。例えば、旅行予約に関する情報探索が活発になるのは実際の購入の 2 〜 3 か月前なのに対して、アパレルは購入の 2 〜 3 日前、レストランにいたっては実際の店舗利用の 1 時間〜数分前に情報探索が活発になります。



購入行動前の情報探索フェーズである ZMOT の情報源の重要性は、旅行、アパレル、レストランの各カテゴリに共通して高く表れていますが、レストランについては ZMOT とともに FMOT(店舗内/周辺での実際の購入フェーズ)の情報源も非常に重要な役割を果たしていることがわかりました。



モバイルの利用において、スクリーンの小ささに起因する操作上の問題やセキュリティに対する懸念などの課題があることも浮かび上がってきています。生活者の購買行動におけるモバイルの重要性がますます高まるなか、スマートフォンやタブレットに最適化したユーザー エクスペリエンスを用意して、確実にユーザーに提供することが、商品・サービス提供者にとっていま必須となっています。



いま、スマートフォンやタブレットの普及が急速に進むなか、これらのスマートデバイスの効果や役割は、もはや「モバイル」という領域の内側だけで理解することはできません。オフライン・オンライン双方の多様なメディア環境・購買チャネルのなかで、モバイル(サイト・アプリ・広告等)が生活者の購入意思決定にどのような影響を与えているのか、包括的なマーケティング視座からのモバイル理解がいま必要になってきています。今回の調査結果がそうした取り組みの一助となれば幸いです。

フルレポートはこちらからダウンロードができますので、ぜひご覧ください。

アカウントプランニング & アカウントストラテジストチーム

今年、6月30日に「検索連動型広告のブランドへの影響調査」を株式会社電通の協力を得て発表しました。その結果、検索連動型広告は表示されることにより、ブランドの認知獲得、ブランドイメージの醸成などの効果があることが分かりました。

今回は、その第二弾として「検索連動型広告の広告テキストの効果」を検証しましたのでご紹介いたします。

今回、検証したい仮説は2つありました。
  • 入力したキーワードと「広告テキスト」の組み合わせによって、ブランド形成に影響があるのでは?
  • マスキャンペーン、検索連動型広告の「広告テキストの組み合わせ効果」によるブランド形成は有効か?

そのため以下のような手法で調査を実施しています。

まず、調査モニターに「自然検索結果のみ」「自然検索結果と検索連動型広告」のいずれかを露出し、その後ブランドイメージについて尋ねます。

検索連動型広告でイメージが上昇することは、以前の調査で検証されましたので、今回は「広告テキスト」を3種類用意し、その反応の違いを調べました。

例えばある広告主様(仮にアパレルA社とします)の社名キーワードに対しては1. ブランド訴求、2. キャンペーン訴求、3. EC 訴求を用意。文字通り、1 はブランドメッセージを中心にしたもの、2 は実施している企画商品のキャンペーンを訴求したもの、3 は EC サイトへの誘導を測ったものです。

その結果アパレル A 社のイメージに、以下のような影響が見られました。

まず、ブランド訴求の広告テキストにはブランドに対する「好感度」「流行感」が広告表示のなかったグループに対して高まりました。

また、キャンペーン訴求は、品質感や購入意向が上昇。そして、オンラインストアでのセール告知の広告テキストでは「品質感」が高まる結果となりました。これはオンラインストア訴求の広告テキストに、ある商品名が入っている影響がありそうです。

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そして、文章全体というよりある個別の単語の影響が強いという傾向が見られました。

さらに、マス広告の影響については、次のようなことが分かりました。

アパレル A 社はその時期、ブランドの機能性や流行感を伝えるメッセージを中心にコニュニケーションし、一方もうひとつの調査テーマとして取り上げた携帯キャリア A 社はサービスや料金プランのコミュニケーションを実施していました。

その結果、自然検索結果のみを表示したグループに比べて、検索連動型広告を表示したグループ平均のブランドイメージは、アパレル A 社においては「機能、社会的価値」の価値が伸び、携帯キャリア A 社では「コストパフォーマンスや来店意向」といった価値が高くなるという傾向が見られました。

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また、企業ホームページを訪れるなどよりそのブランドに関わりの高いグループは、検索連動型広告のブランド効果がより高く出るということも分かりました。

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今回の第二弾調査においては検索連動型広告テキストを工夫することで得られる「ブランド効果」があり、中でも関与の高いユーザーでの「ブランド」をより高める効果、そして来店意向などのアクション意向も高める効果があるという興味深い結果が出ています。

このブランド効果を高めるためには、マス広告などを含めた統合的なキャンペーン設計を考えることが一層重要となりそうです。

ぜひ、これからも AdWords で得られるさまざまな広告効果にご期待ください。

Posted by アカウントストラテジスト チーム

広告主の皆様は、検索連動型広告をどのような目的でご活用されていますでしょうか。

通常ですと、資料請求や商品購入などのコンバージョンを目的としてご利用されていることが多いかと存じます。一方で、広告主様としては自社サイトへの誘導数、商品の購入数といった直接的な効果指標だけでなく、いかに自社商品を理解してもらい、ブランド形成を図るかという点も大きな課題として存在します。

そうした広告主様の課題に対する一助となるべく、検索連動型広告もブランド認知、形成に役立てていただけるのではないか? という仮説を元に、株式会社電通の協力を得て、検索連動型広告のブランド価値形成への影響を調査する取り組みを開始いたしました。

一連の調査では、自動車、飲料などの業種、商品に対してさまざまな角度から調査を行っておりますが、今回、その調査結果の一部をご紹介したいと思います。

ちなみに、米国Googleでは Enquiro と2007年12月に行った “Brand lift of Search” 調査や、2009年1月に CPG チームが実施した “Brand value of Search” 調査 (リンク先は英語です) などを発表しておりますが、日本 Google での調査では初めてのケースとなります。

ある広告主様の商品名(仮に “エコカー A” とします)で Google 検索を行ったと仮定し、検索結果の表示内容の違いによって、商品のブランドに対する態度がどの程度異なるか、下記の 2 つのグループに表示結果を分けて調査を実施しました。1 つは、自然検索結果の最上部に “エコカー A” の公式サイトが表示されている場合、もう 1 つは自然検索結果の最上部に “エコカー A” の公式サイト、および検索連動型広告のプレミアムポジションに “エコカー A” が表示されている場合です。

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結果として、自然検索のみで表示された場合よりも、自然検索と検索連動型広告に同時に表示があった場合の方が、”エコカー A” の好感 (+ 16%)・概要理解 (+ 14%)・購入意向 (+ 3%) が高まるということが分かりました。

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今回の調査結果は、検索連動型広告がコンバージョンのみならず、商品のブランド認知、ブランド形成にも活用可能であることを示しているかと思われます。

検索連動型広告を含めた検索領域のブランド価値形成に関しては、今後も継続的に調査、研究を行っていく予定になっておりますので、今後の投稿にご期待下さい。

※本件に関する電通のプレスリリースはこちらです。

Posted by 葉村真樹 インダストリーディベロップメントマネージャー

前回の Google AdWords 業界別ご利用動向 自動車業界「新車購入者の検索行動」編に続き、今回は自動車購入検討者の検索キーワードについて概観したいと思います。

新車購入者の情報収集のプロセスは、前回見てきたとおり「日常生活~思い立ち」、「情報収集時(ディーラー訪問前)」、「ディーラー訪問時」、「購入時(最終決定)」の大きく 4 つの段階に分かれます。そして、これら 4 つの段階ごとに、検索するキーワードに一定の傾向があることが、今回の調査で分かりました。下表は各段階での代表的な検索キーワードの例を示したものです。

表 購入プロセスと検索キーワード例

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各段階ともに、おおよその予想のつく範囲のキーワードが検索されています。すなわち、第 2 段階の情報収集時(ディーラー訪問前)は特定のモデルに関する概要情報や、ディーラーや試乗車について検索し、第 3 段階のディーラー訪問中になると個別車種モデルの詳細情報や競合比較、最終段階には価格や値引き、支払い関連の情報へと移行しています。ただ、若干様相が異なるのが、最初の「日常生活~思い立ち」段階で、この段階では、「情報収集時(ディーラー訪問前)」段階と同じ「車種モデル名」を入力していたとしても、その情報収集ニーズが異なることに留意する必要があります。

下図は、「日常生活~思い立ち」段階で、インターネットで情報収集を行った人に対して、どのような情報を収集したかを尋ねた結果です(複数回答)。


図 「日常生活~思い立ち」段階でインターネットで収集した情報

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ここから「自分が保有するクルマに関する情報」と「新しく発売したクルマの情報」の 2 つが圧倒的に多いことがお分かりになるでしょう。そして、このことから、この段階で例えば「車種モデル名×パーツ」などと検索している場合は、恐らく自分の現所有車についてのパーツについての情報を収集していることが考えられます。また、ここで具体的に登場してきた車種モデル名の多くが「日産 GT-R」など、購入層が必ずしも大きくない車種モデル名が検索されていることから、新発売となった車種やニュース性の高い車種への興味から検索されていると考えられます。

一方、当然のごとく「情報収集(ディーラー訪問前)」段階では、同じ車種モデル名でも、実際の購入車を含む名前が検索されています。そして興味深いのは、この段階が特に特定の企業ブランドや車種名、すなわち固有名詞が検索されているのが多いことです。下図は具体的な数字を除いたイメージを示したものですが、企業ブランド名を含むキーワードが検索された実数と、実際に検索された全てのキーワードの中に占める企業ブランド名を含むキーワードの比率は、情報収集時点でピークになり、購入プロセスの終盤に向けて、減っていく傾向にあることが分かります。


図 購入プロセス段階別に見た企業ブランド系キーワードの検索数の推移

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この点は実は、自動車購入者の多くは「思い立ち」から「情報収集(ディーラー訪問前)」段階で、ある程度具体的な車種を購入車として想定していることに因っているようです。今回の調査によれば、思い立ち時に購入対象として想定していた車種数は平均で 1.9 台と 2 台を切っており、業界でおおよそ考えられていた 3 台を大きく下回っています。もちろん、3 台以上を想定していた人も 3 割弱存在するのですが、1~2 車種で 7 割を超えているので、購入を思い立ってまず検索するのは、購入候補となっている具体的な車種名となるのです。

今回の調査はインターネット調査で行われたため、調査対象者はネットユーザーとなるために、このような結果が出たとも考えられますが、いずれにせよ新車購入者は早い段階から、既に購入候補を絞り込んでおり、むしろその後、購入候補を増やして行っている可能性が考えられます。

下図は実際に購入した車種が当初想定していた車種に含まれていた人と、含まれていなかった人の割合をみたものですが、購入者のおよそ 10 人に 1 人は、当初想定していた車種とは異なる車種を購入しているのが分かります。すなわち、思い立ってから実際に購入するまでの間に、新たにショッピングリストに載せてもらい、購入車として検討してもらう余地が十分にあるということです。


図 実際に購入した車種は、当初想定していた車種に含まれていたか?
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前回、「日常生活~思い立ち時」段階での TVCF の影響は大きく、恐らく最初のショッピングリストの作成を大きく左右しているものと考えられます。しかし、仮にここでリストから漏れたとしても、購入プロセスの中で、リストに載せてもらい、大逆転を狙うことは不可能なことではありません。前回も見たとおり、購入者の 7 割以上はネットでの情報収集時に検索を行っており、このときに適切な広告を提示することで、自社を購入候補として考えていなかった人を引き込むことも可能なのです。検索連動型広告はそのような可能性も秘めている、と考えられるでしょう。

Posted by 葉村真樹 インダストリーディベロップメントマネージャー

自動車業界で検索連動型広告を行っているのは、日本国内においては中古車販売や車検、買い取り店が中心で、まだまだ新車販売は主流とは言えません。

しかし現在、新車を購入しようとする人たちの多くがインターネット上から情報として収集し、その情報を収集するために検索エンジンを活用していることが、最近の調査から分かってきましたので、今回ご紹介したいと思います。

マクロミル株式会社が今年の 5 月に独自に実施した調査によると、新車を購入した人が、最も情報入手先として重視しているのはメーカーの公式サイトで、公式サイトへアクセスするために検索エンジンが主に利用されています。

この調査は昨年 4 月から今年の 3 月までに、メーカー系ディーラーにおいて新車を購入した全国 1,555 名の 20 ~ 60 代の男女(年代別人数は地域別人口分布に準じる)を対象に、①自動車購入を意識する前の日常生活時、②自動車購入を思い立った時、③ディーラーへ行かないで情報収集している時、④ディーラーを訪れ、ディーラー巡りをしている時、⑤最終的に購入車を決定するとき、と大きく 5 つのステップ別で、接触した情報別の影響度や、情報入手先を聞いています。

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日本の広告費の上位を自動車メーカーが占めているということは、皆さんがご存知かとは思いますが、その多くをテレビ CM が占めています。例えば、このテレビ CM が上記のプロセスのうち、どこで効いているのか?下図は、調査結果を元に、自動車購入者の購入プロセスのステップ毎に、メディア別の影響度を相対的に評価したものですが、テレビ CM の影響度が最も高いのは、自動車購入をまだ検討していない「日常生活」の時点となっています。

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そして、その他のメディア等の影響度を見てみると、『メーカーの公式サイト』が、特に「情報収集時(ディーラー訪問前)」と「ディーラー訪問時(ディーラー巡り中)で高くなっているのが、お分かりいただけるでしょう。これは、最終的に購入車を決定する「購入時」における『営業マンの説明』や『車の試乗』並みの影響度を持つと評価されており、その影響度の高さがお分かりいただけるかと思います。

そして、このメーカーの公式サイトないしディーラーサイトへアクセスするために、調査対象者の実に「7割以上」が検索エンジンを使ってアクセスをしていました。これは『比較サイト』や『クチコミサイト/掲示板』へアクセスする際に検索エンジンを利用する人が「6 割弱」に留まるのに対しても、高い数字と言えるでしょう。

おそらくこの数値は、メーカーサイトないしディーラーサイトへの実際のアクセス分析で得られる数値と比較すると、検索エンジン経由が過大であると、違和感を抱かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、これは実際に自動車購入した人を対象とした、購入プロセスにおける情報収集についての調査であることに留意する必要があります。特定のメーカーの「ファン」でメルマガ登録などして、定期的にサイトを訪れている層も、もちろんこの調査の中に含まれていますが、購入検討者の多くは、そのような「ファンではない」人たちと考えられます。

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さらに、ここで留意する必要があるのが、検索エンジンを利用して情報収集を行っている消費者が多いものの、必ずしも消費者は望む情報にすぐ辿りつけているわけではないということです。つまり、『メーカー公式サイト』や『ディーラーサイト』などに検索エンジン経由で訪問したとしても、その後、自分が探している情報をすぐに発見できない場合があるようです。

下図は「検索エンジンによって望む情報を入手することが出来たか?」という設問への回答ですが、『すぐに出来た』とする人は半数強に留まっています。

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例えば、あるお客さまが「国産のハイブリッド車にどういうものがあるのだろうか」?と考え“国産 ハイブリッド”と検索したとします。その場合、どのような検索結果が得られるでしょうか?ハイブリッド車をそろえている国内メーカー全てのサイトが検索結果に現れているでしょうか?答えはノーです。

検索連動型広告は、実はお客さまが望む情報を、望んだときに提供するための、コミュニケーションツールでもあります。自動車購入を検討している人が、ネット上でどのようなキーワードを検索しているか。それを把握して、そのキーワードに対して適切な広告を表示し、自社サイトの適切なページへと誘導するというのは簡単ではありません。


次回は、自動車購入検討者の「検索キーワード」について概観したいと思います。