2009年8月13日
posted by 今井紀夫 広告営業部

2009 年 5 月の富士通グループ再編により、富士通の完全子会社となることが決まった株式会社富士通ビジネスシステム(以下富士通ビジネスシステム)。富士通グループにおける中堅中小企業向けビジネスの中核として新たなスタートを切ることになった同社に、AdWords による Web マーケティングは、「営業のパラダイムを変えた」というほどのインパクトを与えました。AdWords は同社に何をもたらしたのか?マーケティング本部ビジネスイノベーション推進部の石見誠一氏と塩原匡顕氏に話を伺いました。


中堅中小企業向けの販売管理/営業支援ツール NetSuite のマーケティングで活用
富士通ビジネスシステムは、もともと中堅中小企業向けの製品、ソリューションを得意としてきました。特に営業力には定評があり、全国の営業拠点に約 1,000 名を配置し活躍しています。インターネットのビジネスにおける可能性にも早くから着目。グループウェアの ASP サービス(WebOffice)を提供するなど、さまざまな取り組みを行ってきた同社が、新しいマーケティングツールとして AdWords を導入したのは、2008 年の 1 月のことでした。

「NetSuite という中堅中小企業向け CRM+ERP ソリューションの販売を目的に Web サイトを作成、公開し、AdWords による Web マーケティングを開始しました。さまざまなキーワードを出稿して反応を見ていったのですが、結果から言いますと、いいお客様は見つかったものの数が尐なく、実際に伺ってみると限定された機能への対応を求められるなど、予想以上にお客様のターゲットが絞り込まれすぎてしまいました」(石見氏)

そこで石見氏は、すべてのプランを作り直すことを決断。代理店となる株式会社ネクスウェイ(以下、ネクスウェイ)に依頼し、「CRM」や「ERP」「グループウェア」などのよりターゲットの広いビッグワード中心の戦略に切り替え、キーワードも厳選しました。中小企業の課題を調査したレポートを参考に広告文も作り直し、ターゲットごとにコンテンツも用意。問い合わせ後のフォロー体制も整備して、今年 1 月から再びサイトを公開しました。

さらに、サイト公開後も、キーワード群ごとの AB テストの実施や広告文ごとのコンバージョン調査など、こまめな施策を継続的に実施。その結果、クリック率が大幅に向上し、Web 経由の受注も順調に伸びています。実際にサイト構築に携わった塩原氏は、次のように語ります。

「Web 経由のお客様は導入意欲が高いと感じています。お問い合わせいただいたあと営業が伺っても、熱心に話を聞いていただけますので、飛び込みや電話による営業と比べても、ユーザーキーマンとの面談できる確率が非常に高いのです。新規のお客様を獲得するうえで、AdWords を活用した Web マーケティングは、間違いなく強力なツールです」(塩原氏)


AdWords 抜きの営業は考えられない。ただし、AdWords だけではうまくいかない
NetSuite の経験から、石見氏は次のような確信を持つに至ったと言います。

「AdWords が強力な集客ツールになることはわかりましたが、集客だけを考えていては、うまくいかないことも痛感しました。お問い合わせいただいたお客様のフォローから受注の計上まで、すべてのプロセスを一気通貫に設計したうえで広告を打つことが重要です。さらに、各プロセスごとにデータをとり、それぞれに PDCA サイクルを回して改良を重ねることも必要ですね」(石見氏)

さらに、AdWords による Web マーケティングでは、利用するほどノウハウが蓄積されていくと言います。
「AdWords は非常に手軽に開始できるため、当初はあまり深く考えず、『Web で集客できれば楽ができるだろう』といったレベルで始めました。もちろん、予想以上の効果はありましたが、アクセスを実際の受注にまで結びつけるには、やはりそれなりの工夫が必要です。いまは、キーワードの選定から広告文の作成、ターゲットごとのコンテンツ作成など、さまざまなノウハウが蓄積されているところです。このノウハウは、今後の我々のビジネスに間違いなく役立つでしょう」(石見氏)

Web マーケティングの効果が社内に波及することにより、営業サイドの意識にも変化が見られるようになりました。

「従来、新規顧客の開拓にはダイレクトメールが使われることが多かったのですが、それをメルマガに変えたい、といった要求が営業サイドから提案されるようになりました。費用対効果の高い Web のメリットが、営業サイドにも浸透しつつある証拠だと思います」(塩原氏)

「Web経由のお客様は導入意欲が高いと感じています。営業が伺っても熱心に話を聞いていただけます」

塩原匡顕様
マーケティング本部
ビジネスイノベーション推進部
(Webマーケティング担当)
株式会社富士通ビジネスシステム

営業のパラダイムが変わった!「効率化営業」を極めた企業が勝ち残る
Webマーケティングの効果を目の当たりにした石見氏は、「営業に求められるコンピテンシーも変わらざるをえない」と断言します。特に、今後はコンテンツを作成する能力が求められるようになるだろうと言います。

「これからの営業には、我々が提供しているソリューションとお客様が抱えている課題を結びつける効果的なコンテンツを作成する能力が求められるようになると思います。各業種、業態のトップ層、キーマンとなる経営陣や幹部クラス向けに、サーチエンジンと連動した効果的なコンテンツを作ることができれば“勝ち”です。営業では、よく“足で稼ぐ”と言われますが、さらに Web マーケティングを活用することにより営業効率が格段に良くなります。営業のパラダイムが変わったのです。今後、このパラダイムの変化に対応できる企業とできない企業では、圧倒的な差がつくでしょう」(石見氏)


営業が変われば、企業も変わらなければなりません。
「企業はコンテンツを作成できるクリエイティブな部隊を作る必要があります。そして、プロダクトマーケティングを含めたすべてのプロセスにこの部隊を参加させて、組織的・継続的にコンテンツを作り、効果を数値で測定・管理していく仕組みが必要です。弊社も、いま、まさにその仕組みを作っているところなのです」(石見氏)

「サーチエンジンと連動した効果的なコンテンツを作ることができれば"勝ち"です。こうしたコンテンツを次々と提供することが、企業の競争力の源泉になるでしょう」

石見誠一様
マーケティング本部
ビジネスイノベーション推進部
プロフェッショナル部長(SaaS担当)
株式会社富士通ビジネスシステム

その他、AdWords の活用事例については、こちらのページもご確認ください。