Google と考える Micro-Moments(2): Micro-Moments を活かして認知を獲得し検討を促す
2015年8月25日火曜日
Posted by 中村 全信 - ブランドソリューション エキスパート
前回は、生活者のそれぞれの明確な「意図」が生まれた瞬間、つまり Micro-Moments を捉えることがマーケターにとって必要不可欠であることを紹介しましたが、今回は、その Micro-Moments をどのようにつかみ、認知を獲得して検討を促すのか。そしてその効果をどのように測定すべきかを紹介します。
まずはじめに考えることは、認知の獲得です。Micro-Moments でのコミュニケーションはもちろん重要ですが、その前の段階でブランドに対する認知が高ければ、Micro-Moments でより選ばれやすくなることは言うまでもありません。そのためにも、認知度とともに、場合によっては好意度も同時に高める必要もあるでしょう。
次に考えることが、リーチのボリュームです。Micro-Moments は生活者ごとに、毎日無数に発生しています。いつ何時起こっているかわからない Micro-Moments を逃さずつかむためにも、圧倒的なリーチが必要になります。日本最大級のネットワークである Google ディスプレイ ネットワーク(GDN)は日本のインターネット ユーザーの 91.2%*1 にリーチしており、同時多発的に発生している多様な Micro-Moments を大量に捉えることを可能にします。
そして、「(何かを)知りたい」「(どこかに)行きたい」「(何かを)買いたい」と思った瞬間にまずはじめに手に取るモバイルは、Micro-Moments をつかむ上でもっとも重要なデバイスと言えます。
さらに、常に持ち歩く身近なパーソナルデバイスだからこそ、まだ Micro-Moments が発生していない時点でブランドの認知を獲得し好意を形成することができます。例えばニュースの閲覧、メールの確認、動画の視聴といった何気ない日常の情報消費で、「このブランドについてもっと知りたい」といった明確な意図、つまり Micro-Moments を生み出すことも可能にします。
2015 年 7 月 時点での日本の YouTube のアクセスは約 70%*2 がスマートフォンを中心とした PC 以外からの視聴であり、動画視聴のメインデバイスはすでに PC からモバイルにシフトしています。さらに、YouTube モバイル(モバイルウェブ、アプリ含む)のトップページには、1 日に平均で約 16,000,000 *2 のユニーク ユーザーがアクセスしており、実に PC トップ ページの 5 倍に値します。
また、YouTube モバイル トップページの広告スペースを 1 日買い切ることができるモバイルビデオマストヘッドの 1 日当たりの平均的な動画再生は約 280,000 回です。これは自動再生ではなく、生活者が見たいという意図を持って動画をタップして再生した回数であり、まさに Micro-Moments を生み出すためのフォーマットでもあるのです。
「壊れたヘアドライヤーの修理や買い替えを検討している美容に興味をもつ女性」「今夜のディナーのレシピを検討している母親」「夏休みの旅行先の選定中の車好きの男性」など、明確な「意図」を持った Micro-Moments にいる生活者には、それぞれ具体的なコンテクストが存在します。
そのコンテクストを的確に捉えることができるのが、Google のターゲティング テクノロジーです。オーディエンス(Who = 年齢性別、子供の有無、興味関心など)、コンテンツ(What = 閲覧サイトのトピック、ジャンル、コンテンツ言語、関連性の高いキーワードなど)、ロケーション(Where = 国や特定の地域など)、デリバリー(When/How = 特定の時間帯、1 日中、YouTube 動画の最初の視聴など)といったターゲティング機能とリマーケティングを組み合わせることで、ブランドにとって最適な Micro-Moments をとらえることを可能にします。
せっかくリーチを獲得し、コンテクストをとらえても、実際に見られていなければ広告の意味がありません。2014 年、Google は、ディスプレイ広告において、米国 MRC(Media Rating Council)と IAB(Interactive Advertising Bureau)の定める Viewability(50% 以上の広告が 1 秒以上表示)の基準に適合していないディスプレイ広告が 56.1% 存在し、平均的なパブリッシャーの Viewablity は 50.2% という報告をいたしました*3。
そこで、以降、オークションで販売する PC とモバイル ウェブのすべてのインプレッション単価制(CPM)のディスプレイ広告は 100% Viewable 保証(vCPM)としています。これにより、広告が確実に閲覧されるフォーマットを提供しています。
また、生活者に自ら選んで広告を見ていただければ、より深いエンゲージメントを築くことが可能です。Google は選択視聴型の広告として、TrueView インストリーム広告とインディスプレイ広告を YouTube、Google ビデオ ネットワーク(GVN)、GDN で、ライトボックス広告を GDN で提供しています。例えばある TrueView インストリーム広告では、自動再生の強制視聴型の動画広告と比べてエンゲージメント率が 75% 上昇し、購入意向が 5 倍、関連キーワードの検索上昇率が 10 倍という結果を得ました。
それでは、Micro-Moments にいる生活者に対して、広告をスキップせず視聴したり、自ら選んで(クリックして)視聴していただくにはどのようなメッセージが最適なのでしょうか。その鍵は、生活者のインサイトです。Google では、YouTube の視聴傾向を分析し、視聴者が好む動画を「Hero」「Hub」「Help」の 3 タイプに分類しました。それぞれの頭文字をとって、「3H コンテンツ戦略」です。
Hero は、多くの人々が持つ人間の普遍的な欲求を刺激する動画です。多くの場合、ブランドの世界観を紹介するような感動的な動画がこれにあたり、認知や好意を獲得する上で大きな効果を発揮します。
Hub は、スポーツ、音楽、美容、料理などの、生活者ごとの興味関心やコンテクストに沿ってブランドを紹介するコンテンツです。まだブランドに興味のない生活者とブランドを結びつける役割を果たし、認知獲得はもちろん、比較検討段階でも効果を発揮します。
Help は生活者の具体化したニーズに対する的確な答えとなるようなコンテンツであり、多くのケースではノウハウやデモンストレーションがこれにあたります。特に、オンライン ショッピングで購入前の下調べに動画を利用する人が 42%、YouTube を利用して商品情報を探す人が 64%*4 というデータからも、Help が具体的な比較検討をしている生活者への決め手となっていることがわかります。このような生活者の具体的なインサイトやトレンドを把握するためには、ターゲット像を明確に定義することや、Google トレンドなどのツールを活用することをお薦めしています。
これらの効果を具体的に測定するためのツールとして、「Google 広告 ブランド効果測定」*5 を紹介します。こちらのブログではブランドリフト調査のアンケートによる「広告想起率」「ブランド認知度」と、サーチリフト測定のオーガニックの「検索上昇率」を事例とともに紹介していますが、現在はブランドリフト調査に新たにアンケートによる「比較検討」「好意度」「購入意向」の 3 つの指標も加わり、より購買ファネルに即した効果を測定することが可能になりました。
例えば、認知獲得の広告では「認知度」や「好意度」を測定したり、検討を促すための広告であれば「検索上昇率」や「比較検討」、または「購入意向」を測定するなど、広告目的に合わせた測定方法をお選び頂けます。
以下、本稿をまとめます。
次回は「Micro-Moments を活かして顧客のコンバージョンを増やす」というテーマで、弊社パフォーマンスソリューション エキスパートの水谷から投稿します。
第 1 回: マーケターにとって見逃せない瞬間「Micro-Moments」とその活かし方
第 3 回: Micro-Moments を活かしてコンバージョンを増やす
第 4 回: Micro-Moments を活かしてリレーションシップを強化する
*1 Comscore 2015 年 4 月、PC Only
*2 Google Internal Data, 2015 年第 1 四半期
*3 Google and DoubleClick display advertising platforms data, October 2014. Detail : “The Importance of Being Seen: Viewability Insights for Digital Marketers and Publishers”
*4 Think with Google, 自動車、化粧品、スマートフォン購入検討者へのアンケート(米国)
*5 「Google 広告 ブランド効果測定」の概要
YouTube TrueView 動画、Google ディスプレイ ネットワーク広告出稿期間中にその効果を測定する調査です。詳細は弊社担当営業までお問い合わせ下さい(2015 年 7 月現在で「ブランド効果測定」は担当営業のいるお客様のみご利用可能です)。
前回は、生活者のそれぞれの明確な「意図」が生まれた瞬間、つまり Micro-Moments を捉えることがマーケターにとって必要不可欠であることを紹介しましたが、今回は、その Micro-Moments をどのようにつかみ、認知を獲得して検討を促すのか。そしてその効果をどのように測定すべきかを紹介します。
1. Micro-Moments を見極め最適な情報を最適なタイミングで届ける
a. リーチを獲得する
まずはじめに考えることは、認知の獲得です。Micro-Moments でのコミュニケーションはもちろん重要ですが、その前の段階でブランドに対する認知が高ければ、Micro-Moments でより選ばれやすくなることは言うまでもありません。そのためにも、認知度とともに、場合によっては好意度も同時に高める必要もあるでしょう。
次に考えることが、リーチのボリュームです。Micro-Moments は生活者ごとに、毎日無数に発生しています。いつ何時起こっているかわからない Micro-Moments を逃さずつかむためにも、圧倒的なリーチが必要になります。日本最大級のネットワークである Google ディスプレイ ネットワーク(GDN)は日本のインターネット ユーザーの 91.2%*1 にリーチしており、同時多発的に発生している多様な Micro-Moments を大量に捉えることを可能にします。
そして、「(何かを)知りたい」「(どこかに)行きたい」「(何かを)買いたい」と思った瞬間にまずはじめに手に取るモバイルは、Micro-Moments をつかむ上でもっとも重要なデバイスと言えます。
さらに、常に持ち歩く身近なパーソナルデバイスだからこそ、まだ Micro-Moments が発生していない時点でブランドの認知を獲得し好意を形成することができます。例えばニュースの閲覧、メールの確認、動画の視聴といった何気ない日常の情報消費で、「このブランドについてもっと知りたい」といった明確な意図、つまり Micro-Moments を生み出すことも可能にします。
2015 年 7 月 時点での日本の YouTube のアクセスは約 70%*2 がスマートフォンを中心とした PC 以外からの視聴であり、動画視聴のメインデバイスはすでに PC からモバイルにシフトしています。さらに、YouTube モバイル(モバイルウェブ、アプリ含む)のトップページには、1 日に平均で約 16,000,000 *2 のユニーク ユーザーがアクセスしており、実に PC トップ ページの 5 倍に値します。
また、YouTube モバイル トップページの広告スペースを 1 日買い切ることができるモバイルビデオマストヘッドの 1 日当たりの平均的な動画再生は約 280,000 回です。これは自動再生ではなく、生活者が見たいという意図を持って動画をタップして再生した回数であり、まさに Micro-Moments を生み出すためのフォーマットでもあるのです。
b. コンテクスト(文脈)をとらえる
「壊れたヘアドライヤーの修理や買い替えを検討している美容に興味をもつ女性」「今夜のディナーのレシピを検討している母親」「夏休みの旅行先の選定中の車好きの男性」など、明確な「意図」を持った Micro-Moments にいる生活者には、それぞれ具体的なコンテクストが存在します。
そのコンテクストを的確に捉えることができるのが、Google のターゲティング テクノロジーです。オーディエンス(Who = 年齢性別、子供の有無、興味関心など)、コンテンツ(What = 閲覧サイトのトピック、ジャンル、コンテンツ言語、関連性の高いキーワードなど)、ロケーション(Where = 国や特定の地域など)、デリバリー(When/How = 特定の時間帯、1 日中、YouTube 動画の最初の視聴など)といったターゲティング機能とリマーケティングを組み合わせることで、ブランドにとって最適な Micro-Moments をとらえることを可能にします。
c. インパクトのあるメッセージを届ける
せっかくリーチを獲得し、コンテクストをとらえても、実際に見られていなければ広告の意味がありません。2014 年、Google は、ディスプレイ広告において、米国 MRC(Media Rating Council)と IAB(Interactive Advertising Bureau)の定める Viewability(50% 以上の広告が 1 秒以上表示)の基準に適合していないディスプレイ広告が 56.1% 存在し、平均的なパブリッシャーの Viewablity は 50.2% という報告をいたしました*3。
そこで、以降、オークションで販売する PC とモバイル ウェブのすべてのインプレッション単価制(CPM)のディスプレイ広告は 100% Viewable 保証(vCPM)としています。これにより、広告が確実に閲覧されるフォーマットを提供しています。
また、生活者に自ら選んで広告を見ていただければ、より深いエンゲージメントを築くことが可能です。Google は選択視聴型の広告として、TrueView インストリーム広告とインディスプレイ広告を YouTube、Google ビデオ ネットワーク(GVN)、GDN で、ライトボックス広告を GDN で提供しています。例えばある TrueView インストリーム広告では、自動再生の強制視聴型の動画広告と比べてエンゲージメント率が 75% 上昇し、購入意向が 5 倍、関連キーワードの検索上昇率が 10 倍という結果を得ました。
それでは、Micro-Moments にいる生活者に対して、広告をスキップせず視聴したり、自ら選んで(クリックして)視聴していただくにはどのようなメッセージが最適なのでしょうか。その鍵は、生活者のインサイトです。Google では、YouTube の視聴傾向を分析し、視聴者が好む動画を「Hero」「Hub」「Help」の 3 タイプに分類しました。それぞれの頭文字をとって、「3H コンテンツ戦略」です。
Hero は、多くの人々が持つ人間の普遍的な欲求を刺激する動画です。多くの場合、ブランドの世界観を紹介するような感動的な動画がこれにあたり、認知や好意を獲得する上で大きな効果を発揮します。
Hub は、スポーツ、音楽、美容、料理などの、生活者ごとの興味関心やコンテクストに沿ってブランドを紹介するコンテンツです。まだブランドに興味のない生活者とブランドを結びつける役割を果たし、認知獲得はもちろん、比較検討段階でも効果を発揮します。
Help は生活者の具体化したニーズに対する的確な答えとなるようなコンテンツであり、多くのケースではノウハウやデモンストレーションがこれにあたります。特に、オンライン ショッピングで購入前の下調べに動画を利用する人が 42%、YouTube を利用して商品情報を探す人が 64%*4 というデータからも、Help が具体的な比較検討をしている生活者への決め手となっていることがわかります。このような生活者の具体的なインサイトやトレンドを把握するためには、ターゲット像を明確に定義することや、Google トレンドなどのツールを活用することをお薦めしています。
2. 認知を獲得し検討を促したかを測定する
これらの効果を具体的に測定するためのツールとして、「Google 広告 ブランド効果測定」*5 を紹介します。こちらのブログではブランドリフト調査のアンケートによる「広告想起率」「ブランド認知度」と、サーチリフト測定のオーガニックの「検索上昇率」を事例とともに紹介していますが、現在はブランドリフト調査に新たにアンケートによる「比較検討」「好意度」「購入意向」の 3 つの指標も加わり、より購買ファネルに即した効果を測定することが可能になりました。
例えば、認知獲得の広告では「認知度」や「好意度」を測定したり、検討を促すための広告であれば「検索上昇率」や「比較検討」、または「購入意向」を測定するなど、広告目的に合わせた測定方法をお選び頂けます。
3. Key Takeaways
以下、本稿をまとめます。
次回は「Micro-Moments を活かして顧客のコンバージョンを増やす」というテーマで、弊社パフォーマンスソリューション エキスパートの水谷から投稿します。
連載:「Google と考える Micro-Moments」- 他の記事はこちら
第 1 回: マーケターにとって見逃せない瞬間「Micro-Moments」とその活かし方
第 3 回: Micro-Moments を活かしてコンバージョンを増やす
第 4 回: Micro-Moments を活かしてリレーションシップを強化する
*1 Comscore 2015 年 4 月、PC Only
*2 Google Internal Data, 2015 年第 1 四半期
*3 Google and DoubleClick display advertising platforms data, October 2014. Detail : “The Importance of Being Seen: Viewability Insights for Digital Marketers and Publishers”
*4 Think with Google, 自動車、化粧品、スマートフォン購入検討者へのアンケート(米国)
*5 「Google 広告 ブランド効果測定」の概要
YouTube TrueView 動画、Google ディスプレイ ネットワーク広告出稿期間中にその効果を測定する調査です。詳細は弊社担当営業までお問い合わせ下さい(2015 年 7 月現在で「ブランド効果測定」は担当営業のいるお客様のみご利用可能です)。