事例紹介 - 「様々なコミュニケーション手段を検証した結果、、AdWords は費用対効果の高い重要なインバウンド獲得手段となった」 株式会社三井住友銀行
2010年7月26日月曜日
Posted by 広告営業第四部 統括部長 滝沢幸信
約 5 年前から商材によってテレビ / 新聞広告などのマスメディアからネット / モバイルに軸足を置き、インターネットを活用した様々なチャレンジを実施している三井住友銀行。インターネットにおけるマーケティング戦略の中でも、Google AdWords は重要な顧客獲得手段となっています。同社 マスリテール事業部 ネットマーケティンググループ グループ長 増子 雄一様に、AdWords の活用についてお話を伺いました。
導入の経緯
三井住友銀行では、個人のお客様向けに、預金業務のほか、カードローンや住宅ローンなどの各種ローン、保険商品、外貨宅配、インターネットバンキングなど様々な商品・サービスを展開。特にインターネットを利用しているユーザーとの親和性が高いと思われるカードローンや外貨預金などの分野で、積極的にインターネット広告を活用しています。
インターネット広告での取り組みについて、増子氏は「マクロトレンドが変化する状況において、メディアの組み方が変わるのは当然のことです。中でも、KPI を正確かつ定量的に立証できるのはインターネットのみで、あらゆるインターネットでの施策を検証し、結果、効率の良い方策を積み重ねた筋肉質な獲得施策を実行しています。」とおっしゃっています。
通常、インバウンド(お客様からの能動的な商品・サービスに対する情報収集やお問い合わせ)とアウトバウンド(自社からのお客様に対する商品・サービスのご案内)を比較すると、インバウンドの方が成約に結びつく確率が高い傾向にあります。これをインターネットの世界に置き換えると、お客様が何かしら商品・サービスに対して関心を持ち検索をおこない、その検索結果に表示される検索連動型広告というのは、まさにインバウンドを受ける 1 つの窓口と同様の機能を果たしているのです。
お客様の意図に沿った、広告やランディングページの最適化
三井住友銀行の特徴的な AdWords 活用方法として、広告やランディングページの最適化が挙げられます。例えば個人向け商品のカードローン 1 つをとっても、ユーザーがカードローンに関して欲している情報は様々です。同社は、ユーザーの検索キーワードに応じてテキスト広告を最適化することで、広告のクリック率向上につなげています。
例えば、「金利を知りたい」と思っているユーザーが “キャッシング 金利” などのキーワードで検索した時には、広告テキストの中に金利の情報を、「コンビニで手続きできるか知りたい」と思っているユーザーが “カードローン コンビニ” などのキーワードで検索をした時には、広告テキストの中にコンビニ ATM で手続きが可能という情報を入れるなど、まずはじめにユーザーの目へと触れる広告テキストを使い、ユーザーの疑問を早期に解消しています。
[検索キーワードにより変わる広告テキストの例]
広告をクリックすると表示されるランディングページについても同様、そのユーザーがどのような情報を求めているかによりリンク先を設定。ユーザーがスムーズに最適なページへと移行できるよう、綿密な導線を設計しています。
もう 1 つの大きなマーケット、モバイルユーザーへのアプローチ
三井住友銀行では、モバイルで情報を探すユーザーが確実に増加しているというマクロトレンドに伴い、約 4 年前からモバイルでも PC と同様の施策で AdWords を活用しています。
「現在では、PC と変わらない位の件数のお問い合わせをいただいています。モバイルは PC とは違った使われ方をされます。その傾向等をしっかりと捉えながらプロモーションを展開していくことで、モバイルについても費用対効果の高いプロモーションが実施できていると思います。」(増子氏)
現在では、AdWords の全体予算の半分弱をモバイルに割き、モバイルユーザー向けの積極的なアプローチを展開しています。
[モバイル向けAdWordsの広告表示例]
ネットに 「メディアバイイング」の考え方は通用しない
「インターネットは効率的なメディアであると同時にお申込チャネル。また様々な広告手法が存在することに加えて、PC とモバイルではお客様のニーズや行動も異なるなど、お客様のニーズや行動を良く見ながらネットが持つ機能を如何にポジショニングしていくかが重要だと思います。」
インターネットでの積極的な顧客獲得施策を実施している同社。けれども、全てをインターネットで解決することはできないと断言します。
「実際、個人のお客様からのお申込みは、インターネットのほか、電話やローン契約機などリアル等の場が半々という状況です。電話で相談をしてから決めたいというお客様も当然多くいらっしゃいます。そのため、全てをインターネットで完結することはできませんし、それは我々の都合でしかありません。お客様の気持ちや実際の動きを捉えなければ、結果的に最適なチャネルとメディアの組み合わせを設計することはできません。」(増子氏)
「メディア」「チャネル」「PC」「モバイル」といった手段としての考え方ではなく、お客様となるであろうユーザーがどのように情報収集をし、最終的に申込みをしてくださるのか。サプライヤー的な考え方ではなく、お客様との距離(=導線)を縮めていく方策を生みだすために、様々なコミュニケーション手段を実行・検証し、ユーザーの行動パターンを捉えることで、結果、最適なチャネルとメディアの組み合わせを設計することができる。増子氏はユーザーの動きを的確に捉えることを重要視しています。
「無数にあるネットメディアを、広告の掲載価格やインプレッションだけで判断せず、事業や業種ベースで最適なインターネットの使い方・スキームを考えていくべきです。そのため、広告メニューごとに実際発生したリーチコストやその他の指標を計測し、効率が良いものを積み重ねています。」(増子氏)
今後は、口座を既に持ってはいるものの特に支店に訪れるきっかけのないお客様との、インターネットをコミュニケーションツールとして活用した施策を検討していきたいとおっしゃっています。