Posted by 冨永 泰弘 - 不動産業界担当 インダストリーアナリスト

景気や税制など、様々な要因に影響を受ける不動産業界ですが、その影響はインターネットユーザーの検索動向にも表れます。今回は、Google の検索エンジンにおける検索動向から見えてくる、不動産業界のトレンドをご紹介します。

「新築マンション」「東京 賃貸」などの不動産に関する検索は、過去 1 年に約 14% 増加しました。特に、第二次安倍内閣が発足し、いわゆる「アベノミクス」が始まった 2012 年末から増加し始め、2013 年の上半期に大きく伸びています。


▼不動産関連の検索数推移


一方、検索数の「対前年成長率」を賃貸や新築マンションといった領域ごとに見てみると、2013 年下半期に多くの領域で成長が減速したことがわかります。これは、消費増税を控えた駆け込み需要の反動減が、徐々に検索行動に表れ始めていることが要因と考えられます。

ただし、中古住宅とリフォームの 2 つの領域だけは下半期にも検索数の成長率が上昇し続けており、「中古住宅を購入してリフォーム」という選択肢への関心が引き続き高まっていくことが予想されます。(中古住宅取引の多くを占める個人間売買では、物件価格が消費税の対象とならないため)

不動産検討者は市況や税制に敏感に反応するため、市場の変化を捉えたマーケティング計画を立てていくことが重要です。検索動向の分析には、Google の無料ツール「Google トレンド」もご活用ください。


▼領域別検索数の対前年成長率


また、 2013 年の大きなニュースの 1 つとして、オリンピックの東京招致が決定しました。これを受け、開催地周辺である湾岸エリアのマンションにも注目が集まり、検索数が急増しました。その後、検索全体の数はほぼ収束したように見えますが、これらをさらにエリア名検索(例 :「晴海 マンション」)と物件名検索(例 :「○○レジデンス」)に分解すると、物件名検索は招致決定前より高い状態を維持しており、注目は続いているようです。


▼湾岸マンションに関する検索数動向


最後に、 2013 年の検索キーワードランキングをご紹介します。トータルの検索数が多かったキーワードとしては、ポータルサイト名や大手企業の社名などが上位に並びました。一方、 2012 年に比べて検索数が急上昇したキーワードを見ると、テレビ番組の舞台にもなった「シェアハウス」や、「企業名 CM 」といった検索がいくつか見られ、検索行動へのテレビの影響が伺えます。

テレビ視聴中にパソコンやスマートフォンを同時利用するユーザーが約 7 割に達する(Google「マルチスクリーン ワールド」より)ことからもわかるように、テレビとオンラインの役割は変化してきており、テレビで関心の高まったユーザーの受け皿としても、オンラインの重要性は高まっております。


▼不動産関連の検索キーワードランキング


不動産に関心を持ったユーザーに的確にアプローチをしていくため、AdWords を始めとするオンライン広告を、ぜひ積極的にご活用ください。