Posted by 葉村真樹 インダストリーディベロップメントマネージャー

自動車業界で検索連動型広告を行っているのは、日本国内においては中古車販売や車検、買い取り店が中心で、まだまだ新車販売は主流とは言えません。

しかし現在、新車を購入しようとする人たちの多くがインターネット上から情報として収集し、その情報を収集するために検索エンジンを活用していることが、最近の調査から分かってきましたので、今回ご紹介したいと思います。

マクロミル株式会社が今年の 5 月に独自に実施した調査によると、新車を購入した人が、最も情報入手先として重視しているのはメーカーの公式サイトで、公式サイトへアクセスするために検索エンジンが主に利用されています。

この調査は昨年 4 月から今年の 3 月までに、メーカー系ディーラーにおいて新車を購入した全国 1,555 名の 20 ~ 60 代の男女(年代別人数は地域別人口分布に準じる)を対象に、①自動車購入を意識する前の日常生活時、②自動車購入を思い立った時、③ディーラーへ行かないで情報収集している時、④ディーラーを訪れ、ディーラー巡りをしている時、⑤最終的に購入車を決定するとき、と大きく 5 つのステップ別で、接触した情報別の影響度や、情報入手先を聞いています。

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日本の広告費の上位を自動車メーカーが占めているということは、皆さんがご存知かとは思いますが、その多くをテレビ CM が占めています。例えば、このテレビ CM が上記のプロセスのうち、どこで効いているのか?下図は、調査結果を元に、自動車購入者の購入プロセスのステップ毎に、メディア別の影響度を相対的に評価したものですが、テレビ CM の影響度が最も高いのは、自動車購入をまだ検討していない「日常生活」の時点となっています。

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そして、その他のメディア等の影響度を見てみると、『メーカーの公式サイト』が、特に「情報収集時(ディーラー訪問前)」と「ディーラー訪問時(ディーラー巡り中)で高くなっているのが、お分かりいただけるでしょう。これは、最終的に購入車を決定する「購入時」における『営業マンの説明』や『車の試乗』並みの影響度を持つと評価されており、その影響度の高さがお分かりいただけるかと思います。

そして、このメーカーの公式サイトないしディーラーサイトへアクセスするために、調査対象者の実に「7割以上」が検索エンジンを使ってアクセスをしていました。これは『比較サイト』や『クチコミサイト/掲示板』へアクセスする際に検索エンジンを利用する人が「6 割弱」に留まるのに対しても、高い数字と言えるでしょう。

おそらくこの数値は、メーカーサイトないしディーラーサイトへの実際のアクセス分析で得られる数値と比較すると、検索エンジン経由が過大であると、違和感を抱かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、これは実際に自動車購入した人を対象とした、購入プロセスにおける情報収集についての調査であることに留意する必要があります。特定のメーカーの「ファン」でメルマガ登録などして、定期的にサイトを訪れている層も、もちろんこの調査の中に含まれていますが、購入検討者の多くは、そのような「ファンではない」人たちと考えられます。

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さらに、ここで留意する必要があるのが、検索エンジンを利用して情報収集を行っている消費者が多いものの、必ずしも消費者は望む情報にすぐ辿りつけているわけではないということです。つまり、『メーカー公式サイト』や『ディーラーサイト』などに検索エンジン経由で訪問したとしても、その後、自分が探している情報をすぐに発見できない場合があるようです。

下図は「検索エンジンによって望む情報を入手することが出来たか?」という設問への回答ですが、『すぐに出来た』とする人は半数強に留まっています。

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例えば、あるお客さまが「国産のハイブリッド車にどういうものがあるのだろうか」?と考え“国産 ハイブリッド”と検索したとします。その場合、どのような検索結果が得られるでしょうか?ハイブリッド車をそろえている国内メーカー全てのサイトが検索結果に現れているでしょうか?答えはノーです。

検索連動型広告は、実はお客さまが望む情報を、望んだときに提供するための、コミュニケーションツールでもあります。自動車購入を検討している人が、ネット上でどのようなキーワードを検索しているか。それを把握して、そのキーワードに対して適切な広告を表示し、自社サイトの適切なページへと誘導するというのは簡単ではありません。


次回は、自動車購入検討者の「検索キーワード」について概観したいと思います。