メディア & エンタテインメント業界担当 アカウントマネージャー 是澤 優和

2008 年の誕生以来、370 万を超える人々が視聴する有料多チャンネル事業と衛生放送事業を両輪とし、ハイブリッドな強みを活かした事業を展開するスカパー JSAT 株式会社。業界に先駆けた取り組みで多チャンネル放送の魅力と楽しさを広げるとともに、社会の安心・安全を支える役割を果たしています。

同社は従来より J リーグの放映をしており、テレビ CM を地域ごとに配信し、テレビ観戦に誘導してきたものの、テレビを見ない人にはリーチしにくいという課題がありました。今回、2012 年の J リーグ開幕にあたってはテレビ業界としては初めての取り組みとなりますが、主要ファン層の 10 代〜 30 代の男性にテレビ以外で投資対効果高くリーチさせるため、Google AdWords の配信方法の 1 つである TrueView インストリーム広告を採用しました。

TrueView インストリーム広告利用の狙い

TrueView インストリーム広告は Google AdWords で動画広告を配信することができる広告フォーマットです。YouTube のパートナー動画をターゲットに、動画再生ページでプレロールまたはミッドロールとして掲載されます。ユーザーは、動画広告を「視聴する」か、もし興味がない場合は「スキップする」を選択することができます。広告が 5 秒間再生された後、広告をスキップするか残りの部分を見るかを視聴者自身が選択することができるため、本当に視聴をしたい人にだけ広告メッセージを届けることができます。この広告フォーマットの大きな特徴は課金方式(Cost per View)にあり、広告料金が発生するのは、視聴者が広告を 30 秒間(それより短い広告は最後まで)見た場合のみとなっています。

テレビでは接触できない層に投資対効果高くリーチを拡大することが、今回同社が TrueView インストリーム広告を採用した理由でした。従来はテレビ CM からテレビ観戦へと誘導してきましたが、普段はあまりテレビを見ない人にアプローチするには YouTube で「J リーグ開幕」のニュースを伝え、テレビ観戦へ誘導することが有効ではないかと考えました。

TrueView インストリーム広告では、ユーザーは動画広告を視聴するか、もし興味がない場合はスキップすることができます。J リーグに興味があり、動画をすべて視聴したユーザーのみが課金対象となるこの広告フォーマットであれば、効率的にリーチ拡大を実現することができると考えました。

また、J リーグのファンは、「自分の住む地域のチームには、興味がある」という特徴があるために、ファンを確実に誘導するためにはファン心理に合わせてメッセージを最適化してリーチすることが必要になります。TrueView インストリーム広告は Google AdWords が持つ精緻なターゲティング機能を活用し、デモグラフィック別にクリエイティブを使い分け、最適なメッセージを届けられるということも、利用を決定した理由の 1 つでした。



7エリアには各地域別に合わせたクリエイティブを配信
その他都道府県には同一のクリエイティブを配信し、効果を検証


TrueView インストリーム広告の掲載は Google AdWords の管理画面から簡単に設定ができます。今回は、J リーグファンに効率的にリーチするために、デモグラフィック(地域)とインタレスト カテゴリ(ユーザーの興味・関心のジャンルのスポーツ、スポーツ観戦)で配信対象を設定しました。また、北海道、新潟、長野、静岡、愛知、関西、佐賀の 7 エリアには、地域ごとのチームにフォーカスしたクリエイティブで地域別動画を配信した一方で、その他の都道府県には共通の動画を配信しました。

 

Google AdWords の管理画面では、広告掲載効果を確認し、どの広告が良いパフォーマンスを示しているかをすぐに把握することができます。今回のキャンペーン結果を分析したところ、約 1 ヶ月の間で、キャンペーン全体で約 160 万回もの動画再生回数を獲得しました。

さらに、同一クリエイティブを配信したそれ以外の都道府県と比較すると、地域別のクリエイティブを作成・配信した 7 エリアは、10 %近く高い動画再生率となりました。適切なメッセージを適切なターゲットに向けて配信することで、ターゲット層に的確にリーチし、十分な視聴回数を得ることに成功しました。また、エリア別に異なる動画を用意し、ターゲットの興味・関心にあったクリエイティブを展開することで高い動画再生率を実現できました。

完全視聴したユーザーだけが課金対象、視聴単価を大きく抑えることに成功

Google AdWords はオークションベースの課金システムのため、広告掲載パフォーマンスに応じて予算をコントロールすることができます。さらに、TrueView インストリーム広告は、広告が表示された時点では課金対象とはならず、視聴者が広告を 30 秒間(それより短い広告は最後まで)見た場合のみ課金される広告フォーマットとなっています。

今回のキャンペーンの広告配信後のレポートを分析したところ、TrueView インストリーム広告を利用したことで、平均広告視聴単価は 1 広告視聴あたり約 3 円と視聴単価を大きく抑えることができました。つまり、TrueView インストリーム広告では、届けたいメッセージを十分に視聴してくれたユーザーの視聴分のみの課金となり、途中で視聴をやめたユーザーにはコストを発生させることがないため、効率的な投資機会となったと考えられます。

担当者の松元氏は、「TrueView インストリーム広告によってこれまでも活用していた Google AdWords から YouTube へ動画広告を掲載できるのは、利用のメリットの一つです。精緻なターゲティングで興味のある人だけに効果的にアプローチできるのが魅力なので、今後も配信対象とクリエイティブのパターンを比較し、効果的なアプローチをみつけていきたいと考えています。」と、今後も継続的な利用を検討されています。

「テレビ CM でも地域別のクリエイティブを展開してきましたが、TrueView インストリーム広告の良い点は、Google AdWords の配信対象設定を活用して精緻なターゲティングができることです。さらに、動画配信後にデータを入手でき効果が分析できるため、次の施策に活かすことができるのもメリットだと思います。」
スカパー JSAT 株式会社
マーケティング本部プロモーション部
アシスタントマネージャー 広告宣伝チーム 松元 圭 氏