Posted by リテール業界担当 インダストリーマネージャー 早崎一朗 アカウントマネージャー 久米雅人


デジタルの普及により、購入前にスマートフォンや PC で製品情報や取り扱い店を検索する生活者は増え続けています。そのような中で、オンライン広告が誘引する来店数を正しく把握することは小売業界の課題の 1 つといえます。この計測を可能にする Google の新サービス、「来店コンバージョン」の導入を、株式会社セブン&アイ・ホールディングス傘下のイトーヨーカドーが実施しました。本事例では、その概要と成果をお伝えします。


導入の背景


コンビニ、デパート、レストランなど多様な業態を持つセブン&アイ・ホールディングスでは、現在積極的にオムニチャネル戦略を進めています。最近も、TVCM、大使館でのパーティ、店頭イベントなどでキャンペーンを盛り上げネット拡散を起こし、自社サイトへの訪問から来店へと誘導する事例を成功させています。しかし、マス媒体やオンライン広告からの来店数はアンケートで計測しているため正確性が不明、かつリアルタイム性も弱いという課題を持っていました。そこで今回、オンライン広告からの来店効果を可視化して正確な ROAS を算出し、広告投資効果の最大化を図る目的で「来店コンバージョン」の導入を決定しました。


来店コンバージョンの仕組み


来店コンバージョン計測は、ロケーション履歴をオンにしているユーザーのサンプルを集計し、匿名化したデータに基づいて、検索連動型広告をクリックして来店した全体的な人数を算出します。

導入にあたりセブン&アイ・ホールディングスは、Google マイビジネス(店舗地図情報)への登録や Wi-Fi 環境調査など、正確な数値計測のための確認作業を複数店舗と協力しながら行いました。店舗への動員につながる取り組みとして、各店舗からは前向きな協力を得られたそうです。

※なお来店コンバージョン計測は、一定の条件を満たした広告主のみご利用いただけます。ご利用にあたっては、弊社担当営業までご相談下さい。


導入の成果


今回セブン&アイ・ホールディングスにとって、オンライン広告の包括的効果を視覚化できたことと、来店を促す上でスマートフォンの優位性が明らかになったことは大きな成果でした。(計測対象:検索連動型広告からの来店数、1 か月間計測)

「来店コンバージョン」測定結果をデバイス別にみると、来店率、来店単価ともにスマートフォンが PC より効果が高いことがわかりました。スマートフォンで検索した人のうち来店した人の割合は 10.4%、PC からの来店は 7.2%(図 1 参照)。モバイル広告による 1 人あたりの来店単価は PC より約 40% 低く、費用対効果も高いという結果がでました。(図 2 参照)

(図 1 )検索からの来店率
(図 2 )検索からの来店単価



今後の展望


今回の結果を今後どう活かしていくか、セブン&アイ・ホールディングス CI 室 シニアオフィサー原田 良治 氏に伺いました。

「ネットを加えた『新しいお買い物習慣を創出する』ことが弊社グループで取り組むオムニチャネル戦略のテーマです。この実現のために、弊社では新しい機能やサービスを躊躇せずどんどん使っていく姿勢をとっています。これまではどんな成功事例でも、オンライン広告からの来店数を正確に計測できないことが悩みでした。今回「来店コンバージョン」の導入でオンライン広告からの来店数がデジタルに視覚化できただけでなく、モバイル広告が予想以上に来店に貢献していることを実証できたのは大きな発見でした。この結果を受け、今後のテレビ、チラシ、オンライン広告への投資バランスをより効果的なものに変えなければという認識に立っています。

今後さらに必要となってくる、デジタルデバイスで Micro-Moments を捉えオムニチャネルでお客様の新しいお買い物習慣を創出していく、その戦略に「来店コンバージョン」のデータを活かしていきたいと考えています。」
(CI 室 シニアオフィサー 原田 良治 氏)

*PDF 版の事例はこちらからダウンロードできます。


株式会社セブン&アイ・ホールディングス 
http://www.7andi.com/index.html

世界 16 か国・地域におよそ 56,000 店舗、国内に約 19,000 店舗を展開し、コンビニエンスストア、スーパー、百貨店、専門店、銀行、ネット事業など、多様な業態を擁する世界でも類を見ない流通サービスグループ。