Posted by 香川美菜 トラベル担当 インダストリーアナリスト

Google は本日、2015 年の旅行業界関連の検索動向を発表しました。 

より多くの外国人旅行者の日本への興味関心を高めるには、日本の魅力を海外に積極的に発信することが重要です。世界において、日本の旅行関連語句がどのように検索されているか、「世界から見た日本」について検索動向をまとめました。

また、国内の旅行に関する検索動向をご紹介します。

Ⅰ. インバウンド(訪日外国人)旅行動向

カテゴリー別インバウンド関連検索(英語検索)1)2)

世界における「日本」関連の検索は増加傾向にあり、「観光(インバウンド)」関連は成長率 30% で伸びています。同時期の、世界旅行検索の成長率 11% と比較しても、訪日関連の伸びが高いこと、旅行の目的地として日本人気が高まっていることがうかがえます。


(参考:同時期の訪日外国人数の増加率は約 +50%)

1) 調査期間 2015 年 1 月 1 日〜 11 月 30 日
2) 日本関連の検索語句を、ファッション・食・日用品・コンテンツ・観光の 5 カテゴリーに分類



世界で最も検索されている、日本の地名ランキング1)2)3)

2015 年の日本地名検索では、1 位に [Tokyo]、2 位 [Ginza]、3 位 [Hiroshima] が続きました。

昨年との変化では、中華圏旅行者の爆買で話題になった [Ginza] が、年成長率 217% で急上昇しています。

[Fukushima] は、震災後の原発問題の影響で上昇していました。昨年度よりも順位は落としましたが、引き続き上位にランクインしています。

1) 調査期間 2015 年 1 月 1 日〜 11 月 30 日。日本も含む世界全体の値。
2) 英語検索で、完全一致 (昨年度と集計方法が異なる為、順位が若干異なる)
3) 一部の検索語句(Niseko、Sakura や Naruto 等)は、他カテゴリーが要因となり上位となっていたため除外 



世界で最も検索されている、日本観光地/イベントランキング(英語検索)1)2)3)

観光地/イベントに限定すると、昨年に引き続き [Mt. Fuji]、[Tokyo Disneyland]、[Tokyo Tower] がランクイン。東京の新たな名所 [Tokyo Sky Tree] も上位にランクインしました。

昨年に引き続き、[Universal Studio] の成長率が高く 93% でした。関西系の観光地の成長率は軒並み高く、注目度も非常に高まっています。

他にも、京都の [Arashiyama] の成長率が高く、 京都の名所として、また竹林の嵐山として人気が高まっています。
1) 調査期間 2015 年 1 月 1 日〜 11 月 30 日。日本も含む世界全体の値。
2) 英語検索で、完全一致 (昨年度と集計方法が異なる為、順位が若干異なる)
3) 一部の検索語句(Niseko、Sakura や Naruto 等)は、他カテゴリーが要因となり上位となっていたため除外
 


急上昇したインバウンド検索の特徴(多言語含む)

インバウンドで急上昇した(対前年の成長率が高い)検索語句の特徴として、1) 宿泊関連が多いこと、2) 東京以外の地域が多いことがあげられます。


1) 調査期間 2015 年 1 月 1 日〜 9 月 30 日
2) 一定規模の検索量があり、上昇率が上位 1000 の検索語句を分類


ここでいう宿泊関連には、「施設名」、「地名と宿泊の掛け合わせ」の検索語句が含まれますが、[Ryokan] という検索も上昇しています。訳されることなく、「旅館」そのものの概念が、語句と合わせて浸透しつつあることがうかがえます。
  • 検索語句例(検索量が多い順):Ryokan、Ryokan Kyoto、Ryokan Tokyo、Hiiragiya Ryokan、Hoshi Ryokan など
  • 他 Ryokans として複数形で検索されるケースも見られた。

「東京以外の地名」は、東京に比べて成長率が高い地域が多くみられました。特に大阪の検索成長依率は高く、特に簡体字・繁体字で [大阪] 関連の検索が多くありました。(実際に、「検索量が多かった語句」と「成長率トップ 1,000 語句」で、「東京」と「それ以外」の割合を比較すると、「成長率トップ 1,000 語句」の方では、東京以外が占める割合が高い傾向にあります。)



Ⅱ. 国内旅行動向

検索から見る動向

日本国内の旅行関連は年成長率 11% で増加しています。昨年同様に、モバイルからの検索が増えています(直近 2 年間のモバイル検索の成長率は 20%)。

今年の旅行検索のシーズナリティを見ると、検索のピークが GW と夏休みに加え、シルバーウィークにも存在したことが特徴でした。今年は例年よりも日の並びがよく、長めの休みを取りやすかったことが理由と考えられます。



 
国内・海外観光地ランキング1)

観光地別の旅行ニーズをみると、海外旅行は対前年比 6%、国内旅行は 14%(インバウンドは 30%)で成長しています。今年は旅行業界の売上傾向と同様2)に、海外旅行の増加は穏やかであった一方で、国内旅行の伸びが高いことが特徴としてうかがえます。観光地のランキングを見ると、国内観光地ではディズニーランドがトップ、次に USJ(ユニバーサルスタジオ)、沖縄が続いています。
海外観光地では、台湾、ハワイ、韓国が上位にランクインしています。観光地により、検索の増減に差が出ています。アジアの一部(タイ、ベトナム、香港)の検索は増加する一方で、欧州方面を中心に検索の減少がみられます(下図では割愛しているが、イタリア以外の欧州方面においても減少)。


年間を通じ、国際情勢など外部環境が主な要因で海外旅行が停滞する一方で、国内旅行の充実を求める声が高まりつつあることがいえます。来年度も引き続き、温泉等の国内資源、ローカル体験、民泊、長期滞在/ステイケーション3)へのニーズが高まることが想定されます。これらのニーズの変化をいち早く捉えマーケティングや商品造成に活かし、トライ&エラーを繰り返せるか否かが、多様化する旅行業界で益々重要となるでしょう。 

1) 海外観光地のランキングは、「旅行・観光・ツアー」との掛け合わせのランキング
2) 詳細は観光庁の「旅行業者取扱額」を参照下さい。http://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/toriatsukai.html
3) ステイケーションとは「ステイ(STAY)」と「バケーション(VACATION)」から生まれた造語。近場のホテル等でゆったりと過ごすといった、新しい休暇のあり方。



こうした検索動向の分析には、Google の無料オンラインツール、Google トレンド(http://www.google.co.jp/trends/)もぜひご活用下さい。