Google と考える Micro-Moments(4): Micro-Moments を活かしてリレーションシップを強化する
2015年9月8日火曜日
Posted by 緑川 徹生 - パフォーマンスソリューション エキスパート
これまで、認知・検討・コンバージョンという流れで、購買ファネルに沿って Micro-Moments の活用方法を解説してきましたが、最終回の今回は 4 つ目にあたる「リレーションシップ」がテーマになります。そして、モバイル マーケティングにおける「リレーションシップ」の強化について考える上で、今回はモバイルアプリに重点を置いて、Micro-Moments を捉え・活用する方法について解説します。
モバイルアプリの重要性は、従来エンターテイメント系サービス(特にゲーム)や新規事業をアプリベースで開発する場合などに語られることが多かったのですが、既存の事業における顧客との「リレーションシップ」強化という観点で考えると、より多くの企業様がアプリ作成に本格的に取り組むべき理由が見えてきます。
まず、生活者の Micro-Moments を捉える上で、アプリは欠かすことができない領域です。データで見てみると、1 人のユーザーは 1 週間に 1,500 回なんらかの操作をスマートフォン上で行っているのですが*1、時間消費の内訳を見ると、そのうち 86% の時間はアプリ上で使われています*2。これは、モバイル端末で発生する Micro-Moments について考える際に、ユーザーにとって便利なアプリ サービスを提供できていない場合、大きな機会損失を生んでいることを意味します。
ただし、ウェブサイトをすでにお持ちの企業様の場合、アプリをさらに開発するメリットを理解しないと、着手が難しいかもしれません。そんなときは、以下 4 つのアプリの強み・メリットについて考えてみてください。
実際に、アメリカでの調査で、アプリを持っているユーザーの活発な購買活動が報告されています。
各業種のアプリ ユーザーに聞き取りしたところ、過去 30 日間でこんなにも多くの割合のユーザーが何らかの購買活動・加入契約を行っています。これはアプリが Micro-Moments を捉えていることの証左です。*3
このようにアプリは大きな可能性を秘めていますが、取り組むべきテーマが大きく 2 つあります。LTV(Life Time Value、顧客生涯価値)とインストールです。
アプリにおける LTV は、アプリユーザーが、1) どのくらいの頻度で、2) どのくらいの期間アプリを使い続け、3) またそのうちどのくらいのユーザーが実際に購買活動を行い、4) どのくらいの金額を消費するのか、という 4 つの指標で計測されます。ここでは、そのアプリがユーザーの Micro-Moments に応え続け、満足させているか、が鍵になります。
また、インストールについては、プロモーションなどによってユーザーボリュームを確保する必要があります。これも、ユーザーが「アプリが欲しい」と思う Micro-Moments をマーケティング施策によって捉えることが重要です。
まずアプリを作ったことによるビジネス上の付加価値がはっきりしないと、プロモーションへの投資も難しくなってしまいます。
アプリが高い LTV を発揮するためには、「使われる質の高いアプリ」を作り、しっかりとユーザーに使い続けてもらうための「仕組みづくり」が必要です。実際に、1 ヶ月間でアプリがアンインストールされてしまう割合は 95%であり*4、20% のアプリは 1 回しか使われずに終わってしまいます*5。ユーザーの Micro-Moments に応えることができないアプリは、まず使い続けてもらうことすら難しいのです。
アプリの成功企業は、以下の 4 つのポイントを特に押さえています。
まず、ユーザーに長く使い続けてもらえるアプリを作ることが、何にもおいて大事です。
リクルートマーケティングパートナーズは、中古車カーセンサーの事業においてアプリにいち早く取り組まれました。現在、アプリのユーザーのアクティビティはモバイルウェブにおけるそれよりも遥かに高くなっており、1 週間後の継続利用率を比較しても 5 倍、1 ユーザーあたりのセッション数は 3.5 倍にもなっています。ユーザーにアプリを利用してもらうことの付加価値は明らかです。*6
注目すべきアプリの機能としては、ユーザーの閲覧履歴や検索条件をアプリ上で記憶し、購入検討をいつでもすぐに再開できる機能や、登録した車の新着在庫のお知らせを受け取ることができるプッシュ通知があります。中古車購入を検討しているユーザーの Micro-Moments に応えようとしています。
Online to Store(O2S)では、Walmart の Saving Catcher という機能が目を引きます。これは、ユーザーが Walmart で買物を行った際に、レシートをアプリのカメラ機能で撮影すると、近隣の他の店舗のチラシの情報と比較して、最低価格との差分を次回来店時のクーポンにするというものです。
また、店舗内の在庫情報との連動や、広い店内での陳列位置の表示など、買物に役立つ機能が充実しています。Walmart のこのアプリを持っているユーザーは、持っていないユーザーに比べて来店率が 2 倍に向上し、平均購入金額が 40% も高くなっているということです。*7
このように、すでにウェブや店舗などでの成功があり、さらにユーザーとのリレーションシップを強めるためにアプリを作る場合、ユーザーの Micro-Moments を捉えてより高い LTV を生み出すことが可能です。
Google では、Android プラットフォームを提供していることから、アプリデベロッパー様にモバイルアプリのビジネス成功のためのより詳細な Tips もご用意していますので、ご覧ください。
アプリ内の特定のページに対して直接リンクを行うディープリンクは、今後アプリでのサービス提供を考える上で必須のテクノロジーになります。このディープリンクは、実は先ほどご紹介したカーセンサー、Amazon、Walmart のアプリでも活用されています。オーソドックスな活用方法としては、直接、アプリ内の個別のキャンペーンや商品情報などにリンクを貼るというものです。
現在、ディープリンクを活用するための Google のソリューションとして、以下 3 つをご用意しています。
2015 年 9 月現在、Voice Actions API および Now API はベータプロダクトであり、すべてのお客様にご実装いただけるものではありませんので、ご了承ください。
例えば食べログでは、App Indexing の導入から 5 週間後、アプリのお店ページの PV が 9.6% 増加したとのことです。*8 今後アプリを持っているユーザーに対しては、より高いアクティビティが期待される場合、ウェブではなくアプリ内の特定のページに優先的にリンクを飛ばすことが一般的な手法になってくると考えられます。
また、ディープリンクの技術は広告にも活用が可能です。現在、検索結果連動型広告において飛び先をディープリンクに指定することや、ディスプレイの再エンゲージメント広告のリンク先をディープリンクとすることなどが可能となっています。
広告においても、既存ユーザーに広告を表示する際に、ウェブサイトにリンクするかアプリのディープリンクを開くか、という選択を行う機会が今後増えてくると考えられます。
実はアプリを多くのユーザーに見つけてもらい、インストールをしてもらうのも簡単なことではありません。アメリカでの調査によると、スマートフォン ユーザーの 2/3 は過去 1 ヶ月間アプリをダウンロードしていないそうです。*9 また、世の中には膨大なアプリがありまして、今この瞬間もアプリマーケット上に 100 万以上のアプリが存在します。
インストール ボリュームを獲得するためにも、Micro-Moments について考えることが大変重要です。そのアプリのサービスをユーザーが必要として、スマートフォンにおいて検索や調査のアクションを取る瞬間に、ふさわしいアプリの紹介を行うことができることが望ましいです。実際 75% のユーザーが、アプリをダウンロードする前に何らかの検索や比較を行うそうです。*10
Google がもっているアプリ プロモーションに利用可能な掲載面は、これらをカバーすることができます。よく使われる検索画面、それに Google Play 上の検索はユーザーの能動的な Micro-Moments を掴む大事な場所です。また関連性の高いコンテンツを見ている瞬間も、プロモーションのための重要な機会です。ユーザーのアプリに対するニーズが高まる Micro-Moments を想定しながら、プロモーションに取り組んでください。
では、これらの効果の計測はどのように行われるのでしょうか。
1 つが LTV に関連して、アプリそのもののパフォーマンスを計測することが重要です。
もう 1 つの観点として、アプリのインストールの効率化のための計測があります。
最後に、実際に普段の KPI として見るべき指標を確認しましょう。
まず、インストール数はプロモーションのためにしっかりと計測しましょう。問題は、その後です。まず、リテンション(どのくらいの割合でユーザーが残ってくれるのか)、顧客単価(どれくらいお金を使ってくれるのか)、継続期間(どのくらい長くサービスにとどまってくれるのか)を計測します。これらのことが分かって初めて、LTV が算出可能になります。
この LTV の本当の価値を知らなくては、実際にどの程度インストールにコストをかけられるかの判断はできません。
以下 3 点が、今回のまとめです。
第 2 回: Micro-Moments を活かして認知を獲得し検討を促す
第 3 回: Micro-Moments を活かしてコンバージョンを増やす
*1 Mail Online, “How often do YOU look at your phone? The average user now picks up their device more than 1,500 times a week”, 2014 年
*2 Flurry, “Apps Solidify Leadership Six Years into the Mobile Revolution”, 2014 年
*3 Google and Ipsos Media CT, 2014 年
Google partnered with Ipsos MediaCT on the Consumer Mobile Apps Study to uncover consumer smartphone app acquisition and usage behaviors. Online survey was conducted Sep. 12-22, 2014 in the U.S. among 8,470 smartphone users aged 18-64 who have used any smartphone apps in the past 7 days and have used Entertainment, Finance, Gaming, Local, Retail, Social, Tech, or Travel apps in the past 30 days.
*4 Nuance, 2011 年
*5 Localytics, 2014 年
*6 リクルートマーケティングパートナーズ様からの情報提供
*7 Fast Company, 2014 年
*8 食べログ様からの情報提供
*9 comScore US Mobile App Report, 2014 年
*10 Google and Parks Associates, Consumer Apps Survey, 2014 年
これまで、認知・検討・コンバージョンという流れで、購買ファネルに沿って Micro-Moments の活用方法を解説してきましたが、最終回の今回は 4 つ目にあたる「リレーションシップ」がテーマになります。そして、モバイル マーケティングにおける「リレーションシップ」の強化について考える上で、今回はモバイルアプリに重点を置いて、Micro-Moments を捉え・活用する方法について解説します。
モバイルアプリの重要性は、従来エンターテイメント系サービス(特にゲーム)や新規事業をアプリベースで開発する場合などに語られることが多かったのですが、既存の事業における顧客との「リレーションシップ」強化という観点で考えると、より多くの企業様がアプリ作成に本格的に取り組むべき理由が見えてきます。
1. 生活者の Micro-moments を捉える上でのアプリの重要性
まず、生活者の Micro-Moments を捉える上で、アプリは欠かすことができない領域です。データで見てみると、1 人のユーザーは 1 週間に 1,500 回なんらかの操作をスマートフォン上で行っているのですが*1、時間消費の内訳を見ると、そのうち 86% の時間はアプリ上で使われています*2。これは、モバイル端末で発生する Micro-Moments について考える際に、ユーザーにとって便利なアプリ サービスを提供できていない場合、大きな機会損失を生んでいることを意味します。
ただし、ウェブサイトをすでにお持ちの企業様の場合、アプリをさらに開発するメリットを理解しないと、着手が難しいかもしれません。そんなときは、以下 4 つのアプリの強み・メリットについて考えてみてください。
- より豊かな UI/UX: アプリでは、ウェブと比べて豊かな表現やインターフェイスを実現できます。このため、一般的にアプリユーザーは、ウェブ上よりも高いアクティブ率(ネットサービスを活発に、あるいは日常的に利用している人の割合)を見せ、購買展開率(サービスにおけるコンバージョンの起こりやすさ)などもより高くなります。
- 素早いサービスの立ち上げ: スマートフォンのホーム画面にアプリのアイコンが常駐していますので、ユーザーの Mirco-Moments が生まれた直後に立ち上げてもらうことが可能です。
- オフライン情報の活用: 重いデータなどを都度ダウンロードする必要がありません。また、ユーザーの過去の入力情報を保存し、次回の立ち上げ時にそのまま継続的に利用することが可能です。
- アプリユーザーによるより高いサービス利用意向: アプリのインストールは、実は非常に強い意図を持っているユーザーによる行動です。多くのアプリユーザーは、わざわざそのサービスのブランド名やサービスに関するキーワードを検索したりして、ストアのアプリのページにたどり着き、そのサービスを利用するつもりでインストールを行うのです。
実際に、アメリカでの調査で、アプリを持っているユーザーの活発な購買活動が報告されています。
各業種のアプリ ユーザーに聞き取りしたところ、過去 30 日間でこんなにも多くの割合のユーザーが何らかの購買活動・加入契約を行っています。これはアプリが Micro-Moments を捉えていることの証左です。*3
このようにアプリは大きな可能性を秘めていますが、取り組むべきテーマが大きく 2 つあります。LTV(Life Time Value、顧客生涯価値)とインストールです。
アプリにおける LTV は、アプリユーザーが、1) どのくらいの頻度で、2) どのくらいの期間アプリを使い続け、3) またそのうちどのくらいのユーザーが実際に購買活動を行い、4) どのくらいの金額を消費するのか、という 4 つの指標で計測されます。ここでは、そのアプリがユーザーの Micro-Moments に応え続け、満足させているか、が鍵になります。
また、インストールについては、プロモーションなどによってユーザーボリュームを確保する必要があります。これも、ユーザーが「アプリが欲しい」と思う Micro-Moments をマーケティング施策によって捉えることが重要です。
2. Micro-Moments を捉えて LTV を向上させる
まずアプリを作ったことによるビジネス上の付加価値がはっきりしないと、プロモーションへの投資も難しくなってしまいます。
アプリが高い LTV を発揮するためには、「使われる質の高いアプリ」を作り、しっかりとユーザーに使い続けてもらうための「仕組みづくり」が必要です。実際に、1 ヶ月間でアプリがアンインストールされてしまう割合は 95%であり*4、20% のアプリは 1 回しか使われずに終わってしまいます*5。ユーザーの Micro-Moments に応えることができないアプリは、まず使い続けてもらうことすら難しいのです。
アプリの成功企業は、以下の 4 つのポイントを特に押さえています。
- わかりやすさ・アプリの品質を重視: シンプルでわかりやすいアプリ、そしてユーザーのニーズにしっかりと応えているアプリ。
- 簡潔な登録・購買フローの実現: これは例えば、実際に何かアプリで何かを購入しようとしているユーザーに煩雑なフォームの入力を強いることは避けるべき、ということです。
- ユーザー分析に基づくアプリ改善: ユーザー層分析を行い、Micro-Moments の発生の瞬間、アプリに期待されること、ニーズの高いユーザーグループを把握します。
- ディープリンクを活用したリテンション施策: ユーザーの Micro-Moments 発生時にアプリで即時対応することで、ユーザーを引きつけて定着させます。
a 質の高いアプリを作る
まず、ユーザーに長く使い続けてもらえるアプリを作ることが、何にもおいて大事です。
リクルートマーケティングパートナーズは、中古車カーセンサーの事業においてアプリにいち早く取り組まれました。現在、アプリのユーザーのアクティビティはモバイルウェブにおけるそれよりも遥かに高くなっており、1 週間後の継続利用率を比較しても 5 倍、1 ユーザーあたりのセッション数は 3.5 倍にもなっています。ユーザーにアプリを利用してもらうことの付加価値は明らかです。*6
注目すべきアプリの機能としては、ユーザーの閲覧履歴や検索条件をアプリ上で記憶し、購入検討をいつでもすぐに再開できる機能や、登録した車の新着在庫のお知らせを受け取ることができるプッシュ通知があります。中古車購入を検討しているユーザーの Micro-Moments に応えようとしています。
Online to Store(O2S)では、Walmart の Saving Catcher という機能が目を引きます。これは、ユーザーが Walmart で買物を行った際に、レシートをアプリのカメラ機能で撮影すると、近隣の他の店舗のチラシの情報と比較して、最低価格との差分を次回来店時のクーポンにするというものです。
また、店舗内の在庫情報との連動や、広い店内での陳列位置の表示など、買物に役立つ機能が充実しています。Walmart のこのアプリを持っているユーザーは、持っていないユーザーに比べて来店率が 2 倍に向上し、平均購入金額が 40% も高くなっているということです。*7
このように、すでにウェブや店舗などでの成功があり、さらにユーザーとのリレーションシップを強めるためにアプリを作る場合、ユーザーの Micro-Moments を捉えてより高い LTV を生み出すことが可能です。
Google では、Android プラットフォームを提供していることから、アプリデベロッパー様にモバイルアプリのビジネス成功のためのより詳細な Tips もご用意していますので、ご覧ください。
b より使ってもらうための仕組みを作る
アプリ内の特定のページに対して直接リンクを行うディープリンクは、今後アプリでのサービス提供を考える上で必須のテクノロジーになります。このディープリンクは、実は先ほどご紹介したカーセンサー、Amazon、Walmart のアプリでも活用されています。オーソドックスな活用方法としては、直接、アプリ内の個別のキャンペーンや商品情報などにリンクを貼るというものです。
現在、ディープリンクを活用するための Google のソリューションとして、以下 3 つをご用意しています。
- App Indexing: 自然検索結果において、アプリをすでに持っているユーザーに対しては関連するページのディープリンクを表示するというものです。
- Voice Actions API: Google の Voice Actions から特定のアプリの特定のアクションを呼び出します。音楽を聴いたり、商品を指定して購入するなどのアクションを声で呼び出します。
- Now API: Google Now カードからもディープリンクを呼び出すことができます。
2015 年 9 月現在、Voice Actions API および Now API はベータプロダクトであり、すべてのお客様にご実装いただけるものではありませんので、ご了承ください。
例えば食べログでは、App Indexing の導入から 5 週間後、アプリのお店ページの PV が 9.6% 増加したとのことです。*8 今後アプリを持っているユーザーに対しては、より高いアクティビティが期待される場合、ウェブではなくアプリ内の特定のページに優先的にリンクを飛ばすことが一般的な手法になってくると考えられます。
また、ディープリンクの技術は広告にも活用が可能です。現在、検索結果連動型広告において飛び先をディープリンクに指定することや、ディスプレイの再エンゲージメント広告のリンク先をディープリンクとすることなどが可能となっています。
広告においても、既存ユーザーに広告を表示する際に、ウェブサイトにリンクするかアプリのディープリンクを開くか、という選択を行う機会が今後増えてくると考えられます。
3. Micro-Moments を活用してインストールを促進する
実はアプリを多くのユーザーに見つけてもらい、インストールをしてもらうのも簡単なことではありません。アメリカでの調査によると、スマートフォン ユーザーの 2/3 は過去 1 ヶ月間アプリをダウンロードしていないそうです。*9 また、世の中には膨大なアプリがありまして、今この瞬間もアプリマーケット上に 100 万以上のアプリが存在します。
インストール ボリュームを獲得するためにも、Micro-Moments について考えることが大変重要です。そのアプリのサービスをユーザーが必要として、スマートフォンにおいて検索や調査のアクションを取る瞬間に、ふさわしいアプリの紹介を行うことができることが望ましいです。実際 75% のユーザーが、アプリをダウンロードする前に何らかの検索や比較を行うそうです。*10
Google がもっているアプリ プロモーションに利用可能な掲載面は、これらをカバーすることができます。よく使われる検索画面、それに Google Play 上の検索はユーザーの能動的な Micro-Moments を掴む大事な場所です。また関連性の高いコンテンツを見ている瞬間も、プロモーションのための重要な機会です。ユーザーのアプリに対するニーズが高まる Micro-Moments を想定しながら、プロモーションに取り組んでください。
4. Micro-Moments を活かせたか効果を測定する
では、これらの効果の計測はどのように行われるのでしょうか。
1 つが LTV に関連して、アプリそのもののパフォーマンスを計測することが重要です。
- アプリ内分析: どのような生活者がどのようなアプリの使い方をしているのかを分析します。その分析を基にリマーケティングのリストを作ることもできます。また、例えば 30 代の女性が好むものを特定し、お勧めとして表示することで、購買にいたる可能性を上げることもできます。
- 収益性分析: ユーザーが実際に購買にいたるまでのボトルネックを発見し、アプリの改善を行うことができます。離脱率が高いポイントはどこでしょう?また、いち早い不具合の発見にも役立ちます。
- アトリビューション: 例えば複数のチャンネルをまたぐコンバージョンを追うことができます。皆さまのユーザーは、御社ウェブサイトも訪れて、その後にアプリでコンバージョンしているかもしれません。
もう 1 つの観点として、アプリのインストールの効率化のための計測があります。
- 経路分析: どのキャンペーン、ネットワークのインストール効率が高かったかを判断するものです。これによって、広告配信を最適化できます。
- インストール後アクション: インストール ボリュームばかり追うことは得策ではありません。質の高いユーザーがどの経路から獲得できているかの分析も重要になります。
最後に、実際に普段の KPI として見るべき指標を確認しましょう。
まず、インストール数はプロモーションのためにしっかりと計測しましょう。問題は、その後です。まず、リテンション(どのくらいの割合でユーザーが残ってくれるのか)、顧客単価(どれくらいお金を使ってくれるのか)、継続期間(どのくらい長くサービスにとどまってくれるのか)を計測します。これらのことが分かって初めて、LTV が算出可能になります。
この LTV の本当の価値を知らなくては、実際にどの程度インストールにコストをかけられるかの判断はできません。
5. Key Takeaways
以下 3 点が、今回のまとめです。
- ユーザーの Micro-Moments に応え続ける質の高いアプリを作り、使い続けてもらうための仕組み(一例として、ディープリンク等)を取り入れる。
- ユーザーの Micro-Moments を捉えるプロモーションを行う。
- それらを実現するためには KPI の可視化と PDCA の遂行を行う。
連載: Google と考える Micro-Moments - 過去の記事はこちら
第 1 回: マーケターにとって見逃せない瞬間「Micro-Moments」とその活かし方第 2 回: Micro-Moments を活かして認知を獲得し検討を促す
第 3 回: Micro-Moments を活かしてコンバージョンを増やす
*1 Mail Online, “How often do YOU look at your phone? The average user now picks up their device more than 1,500 times a week”, 2014 年
*2 Flurry, “Apps Solidify Leadership Six Years into the Mobile Revolution”, 2014 年
*3 Google and Ipsos Media CT, 2014 年
Google partnered with Ipsos MediaCT on the Consumer Mobile Apps Study to uncover consumer smartphone app acquisition and usage behaviors. Online survey was conducted Sep. 12-22, 2014 in the U.S. among 8,470 smartphone users aged 18-64 who have used any smartphone apps in the past 7 days and have used Entertainment, Finance, Gaming, Local, Retail, Social, Tech, or Travel apps in the past 30 days.
*4 Nuance, 2011 年
*5 Localytics, 2014 年
*6 リクルートマーケティングパートナーズ様からの情報提供
*7 Fast Company, 2014 年
*8 食べログ様からの情報提供
*9 comScore US Mobile App Report, 2014 年
*10 Google and Parks Associates, Consumer Apps Survey, 2014 年