Posted by 大迫 正治 - パフォーマンス ソリューション エキスパート, 植木 義治 - アカウント マネージャー

類似ユーザーの概要とメリット

類似ユーザーは、広告主様のウェブサイトを訪問したユーザーと共通する特徴を持った新しいユーザーを見つけるためのターゲティング手法で、Google ディスプレイ ネットワークで利用することができます。

類似ユーザーのリストは、既存のリマーケティング リストを元にして自動的に生成され、類似ユーザーのリストを広告グループに追加することによって、元のリマーケティング リストに含まれるユーザーの興味関心に類似した興味関心を持つ新規ユーザーに、広告を配信することができます。

類似ユーザーには、以下のようなメリットがあります。
  1. 最適なユーザーへのターゲティング - 訪問者と類似した特徴を持つユーザーにアプローチすることができる上、新規ユーザーにターゲットを絞ることができます。
  2. 利用が簡単 - 洗練されたアルゴリズムにより、メンテナンスに必要な労力を最小限に抑えます。
  3. Google ディスプレイ ネットワークのリーチ - 日本最大級の広範なリーチを活用することができます。
  4. 無料で利用可能 - 類似ユーザーへのターゲティングのための追加費用は不要です。

類似ユーザーを成功させるためのポイント

類似ユーザーを利用したキャンペーンを成功に導くためには、類似ユーザーのリストが生成される仕組みを理解し、元のリマーケティング リストを戦略的に蓄積することが重要です。

類似ユーザーのリストは、元のリマーケティング リストに含まれるユーザー群の、最近のウェブサイト閲覧傾向を分析し、同様の閲覧行動を示しているユーザー群を特定することで生成されます。そのため、元のリマーケティングリストに含まれるユーザー群に、強い共通性が見られれば、それだけ類似ユーザーのリストの質も高くなります。

リマーケティング リストを作成する際は、まず商品カテゴリ毎にリストを分け、その次にコンバージョンに至るまでの経路の深さに応じてリストを分けるようにします。元のリマーケティング リストがなるべくコンバージョンに近いものから、類似ユーザーのリストの利用を検討することが重要です。


類似ユーザーにふさわしいリマーケティングリストの作成






類似ユーザーのベスト プラクティス

リスト生成戦略を含む、類似ユーザーのベスト プラクティスとしては、以下ものが挙げられます。

リストの生成
  • より購買に近いアクション、よりニッチなプロダクトのページほど、類似ユーザーに適したリストを生成できる可能性が高くなります。
  • 基本的には、コンバージョンを達成したユーザーのリマーケティング リストから作成すべきですが、十分にニッチなウェブサイトの場合、そのホームページの訪問者のリストでも、高品質な類似ユーザーリストの生成が期待できます。
  • 商品カテゴリ毎にコンバージョン済みユーザーのリストを作成できる場合は、積極的に作成を検討します。
クリエイティブ
  • 類似ユーザーの広告グループでは、新規ユーザー向けのクリエイティブを設定します。
  • リストに含まれるユーザーに最も適したページに誘導します。
入札
  • 類似ユーザーは新規ユーザーであるため、訪問済みユーザーに対するリマーケティングキャンペーンよりも、高いコンバージョン単価になる可能性があることに留意します。
  • コンバージョン オプティマイザーを導入可能で、既に他のキャンペーンで導入済みの場合、類似ユーザーでも導入を検討します。
ターゲティング
  • プレースメントレポートからプレースメント毎のパフォーマンスを確認し、パフォーマンスの悪いプレースメントを除外します。
  • 特定の性別や年齢層に限定したい場合、属性ターゲティングの併用を検討します。
測定
  • 類似ユーザーとして訪問した新規ユーザーは、初回訪問で直ちにコンバージョンには至らず、再び訴求するリマーケティングにより獲得されることが多いため、類似ユーザーキャンペーン実施前後のリマーケティングのパフォーマンスを注視し、両キャンペーンをセットで評価します。



類似ユーザーの成功事例

続いて、類似ユーザーを新規に導入して新規ユーザーにリーチし、コンバージョンを大幅に増加させることに成功した事例をご紹介します。

導入の背景

株式会社キャリアインデックスでは、資格・習い事のスクール情報を掲載し、資料請求することができるウェブサイト「キャリアインデックススクール」を運営しています。キャリアインデックススクールは、新規ユーザーの獲得に課題を持っており、特に、最適なユーザー(資格取得に関心の強いユーザー)にリーチできる打ち手を探していました。

以前からリマーケティングキャンペーンを実施していたため、そこで得られるオーディエンスデータを活用して新しいユーザーにリーチできる類似ユーザーを導入しました。

導入後の成果

導入による成果は明確に現れました。類似ユーザー導入前のリマーケティングの CPA (平均コンバージョン単価)と、類似ユーザー導入後の、リマーケティングと類似ユーザーを合わせた CPA を比較すると、後者は前者よりも 20% 低下しました。 これは、類似ユーザーの実施によって、自然に流入するユーザーよりも、資格取得により関心の強いユーザーにリーチできたことが要因でした。

そのことを示す数値として、リマーケティングのコンバージョン率が類似ユーザーの導入後 73% 上昇したことが挙げられます。また、リマーケティングと類似ユーザーを合算して見た際のコンバージョン数は、類似ユーザー導入前のコンバージョン数と比べて 255% 向上し、ビジネスの規模を大幅に拡大することに成功しました。


株式会社キャリアインデックス様における類似ユーザーの導入成果



上記はいずれも、導入前の数値を 100 とした場合の数値です。
*導入前はリマーケティングの数値、導入後はリマーケティングと類似ユーザーを合算した数値です。


成功のポイント

類似ユーザーの導入にあたっては、元のリマーケティングリストを資格毎に用意し、良質な類似ユーザーのリストが生成されるように強く意識しました。なぜなら、例えば行政書士資格に興味を持っているユーザーと、建築設計に興味を持っているユーザー、あるいはアロマセラピーに興味を持っているユーザーとは、必ずしも共通する興味関心を持っているとは限らないからです。

また、公務員資格のページを閲覧したユーザーの類似ユーザーには、公務員資格に関する広告を配信するなどのように、類似ユーザーのリストに対する広告は、元のリマーケティングリストに対する広告と同様のものを利用するなど、関連性を高める工夫を行いました。

さらに、類似ユーザーによってターゲットされるユーザーは基本的に新規訪問者であるため、すぐにコンバージョンに至らず、最終的には再訪後にリマーケティング広告によってコンバージョンに至るケースが少なくないことをあらかじめ意識し、類似ユーザー単体ではなく、類似ユーザーとリマーケティングのパフォーマンスをあわせて評価しました。

これにより、類似ユーザー単体の数値ではなく、オーディエンスターゲティングのソリューションとして総体的にキャンペーン効果を捉えることが可能になりました。


類似ユーザーがリマーケティングに与える影響の概念図(数字は例です)



今後の展望

今後は、類似ユーザー単体での、ラストクリックを基準としたコンバージョン単価の観点からキャンペーンの効果を評価するのではなく、類似ユーザーがリマーケティングに及ぼす影響を考慮した上で、全体として評価することを念頭に置いて、類似ユーザーを継続的に利用してゆく予定です。また、資格領域から転職領域へと、他の事業領域においても類似ユーザーの活用を拡大してゆきます。

お客様のコメント

「CareerIndexスクールでは、かねてからディスプレイ領域での新規獲得に課題がありました。しかし、どういった方法でより確度の高い(資格に興味関心が強い)ユーザーへリーチすべきか打ち手を探しておりました。そこで、この度類似ユーザーを導入しました。その結果、類似ユーザーによる新規獲得に成功しただけではなく、リマーケティングリストの拡張にも成功し、ディスプレイ領域全体のパフォーマンスが上がった事が、大きな成果だと感じています。今後も新たな配信手法が増えていくと思いますが、それを単体として捉えるのではなく、全体としての効果を意識した上で、ユーザーの意図にあった広告を配信していきたいと思います。」
(株式会社キャリアインデックス マーケティング部 榎本のぞみ)

左から、マーケィング部 川崎様、事業開発部 部長熊谷様、マーケティング部 榎本様


株式会社キャリアインデックス
インターネットを活用した情報サイトの開発および運営
http://www.careerindex.co.jp/